日本人写真家、細江英公の作品集。1933年 山形県に生まれた作者は、戦後日本の写真史上、最も影響力のあった写真家の一人である。2021年7月から12月まで清里フォトアートミュージアムで開催される大規模な回顧展に伴い出版されたこの写真集は、国際的に著名な学芸員、研究者である中森康文氏(テート美術館インターナショナルアート部門(写真)シニア・キュレーター)の協力を得て出版された。細江英公に関する最も重要な資料と言える。
細江は、1950年代半ばからキャリアをスタートした。ダイナミックにイメージを扱うアーティストとして、欧米の多くの写真家作品を日本に紹介するキュレーターとして、そして、森山大道をはじめとする多くの著名な写真家のキャリアを成長させた指導者として、常に日本の写真界の第一線で活躍してきた。
1959年には写真家集団『Vivo』を東松照明や川田喜久治らとともに立ち上げた。その後1974年には、「WORKSHOP 写真学校」を共同で設立し講師として参加した。また、作家としての活動にとどまらず、教育者として大学の教育カリキュラムを構築し、素晴らしい写真コレクションを作り上げた。そうした過程で、戦後の日本の写真界の確立を先導し、ドキュメンタリーやリアリズムという既存の芸術形態の中から、芸術、文学、パフォーマンス、映画などと写真との新しい接点を見い出してきた。
作者のこれまでの活動を総括する本作品集では、主要なシリーズだけでなく、作家、批評家、ダンサー、アーティストらを写したポートレート作品が紹介されている。さらに、作品に対する新たな視点を与えてくれる2つのエッセイと、三島由紀夫や瀧口修造など、作家や批評家による細江英公に関する独創性溢れるテキストが再録されている。本書は、細江英公のその幅広い活動により、戦後の日本の美術、写真、舞踏、文学の分野における重要なアーティストたちについても伝える一冊として仕上がっている。
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DETAIL
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black and white
2021
SIGNED BY EIKOH HOSOE
JAPANESE EDITION
published by MACK- SIZE
- hardcovers
400 pages
250 x 325 mm
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