偶然と想像

僕の仕事は、偶然と想像を洋服を媒介にして販売することだと思っている。いやもっと正確に言えば、必然と現実という対義のことばの、ビックリマークを付けちゃいそうな、ゴシック体みたいな印象とはまるで違う、何だかフワッとした、そうだな、明朝体みたいなちょい儚い感じのそういう、風に吹かれたら飛んじゃっていっちゃいそうなものを、なんとか洋服という形で現世に定着させようとすること、だと思っている。嫌でも迫ってくる必然と現実みたいなものに、偶然と想像という遊びを使って、少しでも抗う。それがちょいしんどいけど超面白い。超面白いけどちょいしんどい。生活ってそんな感じだろうし、少なくとも自分はそうだ。で、そのちょいしんどいけど超面白いことを、わりかし他の人より自分が割合高めに取り組めば、そのちょいしんどい部分を軽減しながら、偶然と想像の部分をより多くの人に楽しんでもらえるんじゃないかなって思う。そのことに対価をいただくという意味で、それが、僕の仕事だ。いや別に小難しいことを言いたいんじゃなくて、脳味噌無回転変換すると、黒閃を狙って出せたらいいのにねって話で。

長い付き合いの友人が2人でスタートしたブランド、Laid.B。彼らはいわゆる黒閃経験者というべきか、呪術廻戦はもういいか、まあなんというか黒閃は狙って出せるんじゃないかと錯覚するくらい、いつも豊かな想像力をもって偶然を引き寄せている。会うときはいつも2人とも、風に吹かれたら飛んじゃっていきそうなくらい、地に足ついていない。同い年なんだけどな、ずるいな。

そんな彼らと一緒に企画した、Oka surfer pants。厳密にいうと、企画させられた。僕はいつも彼らの展示会にお邪魔すると、なんでこれ作ったの?とか、なんでこれ作ってないの?とか、そういう余計なことを付き合いの長さゆえにダラダラと意地悪言っては、それ以上聞きたくないと耳を塞いでいる2人を見てケラケラ笑っている。

展示会でOka surfer hoodieを見たとき、このメッシュ生地、超いいのに、なんでパンツ作んないの?イミフ。ってほんとぽろっていつものように言っちゃって。その時は確かに。。みたいな感じで特にそこまで話は広がらなかったけれど、それから数日後、Laid.Bのスミヤくんからいきなり電話で「MANHOLEさんでメッシュ生地使ったパンツの別注企画の話を頂いたんだけど、Muktaさんもご一緒にどうですか?!MANHOLEさんにはご了承いただいています!!!」って言ってきて。多分3ミリくらい宙に浮いた状態で。

はじめまして、イタイと申します。僕はMukta / Salという兵庫県は神戸にある2店舗の洋服屋にいます。いきなり余所者が文章書いててすみません。今回、Laid.BがMANHOLEさんとMuktaのために企画してくれた、メッシュ生地の変形(変態)スウェットパンツ - Oka surfer pants をリリースするにあたって、ブログを交換してみませんか?という思いつきのザ・不躾・ご提案を投げたところ、MANHOLE 河上さんに男らしくノータイムでご了承いただけたので、今こうやってブログを書いています。ほんと偶然、MANHOLEさんで購入したCLASSのタンクトップと靴下を身につけてます。

自分にとってはことばで伝えることも、ことば抜きで伝えることも両方大切で、拙いながらもマイペースに6~7年ほど文章を書くことを続けてきました。今となっては文章で洋服の魅力を伝えるお店はほとんどなくなってしまったように感じますが、MANHOLEさんは素敵な文章とビジュアル両方を使って洋服の魅力を伝えている、数少ないお店だなあと以前から思っていました。まさかこんな形でご一緒することになるとは想像もしていませんでしたが、この偶然の面白そうな機会を逃すにはあまりにもったいないなあということで、未だ見ぬ100%お任せメッシュパンツに思いを馳せながら、 11月の僕はノータイムで今回の企画に乗ることにしたようです。偶然って面白いですね。

ここにこういうものがあったらいいな〜って想像してAIで偶然に生成されたオブジェクト。AIでも、二度同じものは生まれないんだなあ。間違い探ししてみてください。

Oka surfer pantsはメッシュ生地の変形スウェットパンツ。ブラック、オレンジ、ベージュの3色展開(Muktaのみブラック / オレンジの2色の販売)で、Macbookのケースとかでありそうなふかふかしてハリのあるネオプレン系のメッシュ生地なので、立体的なシルエットがキュートです。でもネオプレンとは違うしなあと思って、一応スミヤくんに確認したらダブルラッセルという編み方らしいです。ネオプレンではないです、としつこく念を押されたのでこの機会に覚えましょう。ダブルラッセル。

ウエストは紐で調節できます。なんだか道着パンツみたいですね🥋、とモデルをしてくれたシモンは言っていました。右ポケットにはブーメランのような、エアガンケースのような、変形外付けポケットが付いていて、展示会の時に、変態っぽいさ、例えばCraig Greenみたいな服も作りたいんだよね、と言っていた松下くんのニンマリ顔を思い出しました。

MANHOLEの河上さんや中台さん、ゆうとくんに、まだお会いしていないチームの方々、そしてそこに通うお客さん。もちろんMukta / Salの皆や、うちに来てくれているお客さん。Laid.Bがくれたこの偶然をきっかけに、いろんな顔を想像することができた企画です。いやいやそんな大袈裟な話じゃなくて、いっぱい楽しんでもらえると嬉しいです🙏

Laid.B / Oka surfer pants 
TOKYO: MANHOLE, SUMMER OF LOVE

KOBE: Mukta
5.24(fri) Release.

イタイタイコウ

は〜、ひりひりした。

Mukta / Sal
https://mukta.jp/