- Mukta 11th / Sal 4th Anniversary- Talk Show with Teppei Fujita
sulvam AW21にてギャバジンウールのジャンプスーツがリリースされ、私、森崎は非常に愛用しております。
趣味のバイクでガシガシ着用している中で、ふと、このジャンプスーツをsulvamのデニム素材と掛け合わせたら最強になるんじゃ?!と思い付き。
僕が、バイクに乗る際に着たい!がスタートでしたが、そこはあくまでもオマケ。
本題は、ジャンプスーツという一般的に作業着として認識され、様々なコレクションで登場していても、実際に街中でファッションアイテムとして日常的に着回されている方は少ないように感じます。
しかしながら、実際にはジャンプスーツはスタイリングが組みやすく、少し崩すだけで、万能にスタイリングが組めるアイテムなんです。
そこで、育てがいのあるリジットデニムを使用した別注を提案させていただきました。
この度、弊社Mukta11周年 / Sal4周年を記念して、
日頃より、公私共に非常に親交の深い、sulvamデザイナー藤田哲平氏をお招きし、お客様を交えたトークショーを開催させていただきました。
本日はその内容を”AWEARNESS”としてアーカイブしておきます。
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Mukta/Sal 代表 宮崎 雅也 以下(宮):
本日は皆様お忙しいところをお集まりいただきありがとうございます。お手元にお配りさせて頂いたQ&Aシートを、前もってお客様より募集しておりました。それを元に進めさせていただきます。
sulvam デザイナー 藤田 哲平 以下(藤):
よろしくお願いします!ラフな感じで。
Mukta/Sal 森崎 海人 以下(森):
Q&Aに入る前に、僕から今回のイベントをするに至った流れを軽くご説明させていただきます。今の僕たち、そしてMukta・Salがここまで様々なことに挑戦してこれたのは、sulvam、そして藤田さんのおかげです。当店が様々なブランドをご提案させていただいている中でも、ファーストシーズンからお取り扱いさせていただいており、公私共にお世話になっている藤田さんを周年ではお招きしたい、そして何より、もっとsulvamについて理解を深めていただきたいという思いから、今回の別注アイテムを制作させていただきました。
(宮):
それではまず初めの質問。
-クリエイションに関してブランドスタート時と現在で変わったことはありますか。
(藤):
ないね。そもそもあんまりクリエイションという言葉が好きじゃなくて、
俺はただ服を作っているだけだから。逆にいうと、それしかできないから突き詰めてるだけなんだよね。
(宮):
では、それに繋がることですが、
-コレクション制作の際に自分を見失わない為に心がけていることはありますか。
(藤):
これもないね。見失わないから。ただ、大事なことがあっていかにサボらないか。が、重要なんだよね。人間だから、サボりて〜だったり、手を抜くことはゼロではないけど、自分がやるって決めたことに対して、その時間の中で手を抜くことは一切ない。コレクションがひと段落したり、今日はダメだって日も、もちろんあるよ。そんな時はyoutubeを見て1日が終わったりすることもある。人間だからね。でも、トータルでいうとサボってないよ。
(宮):
-集中する環境であるスタジオ環境について、普段のsulvamの仕事場はどのような雰囲気なのでしょうか。また、メリハリの付け方はどうしているのでしょうか。
(藤):
まず、チームって言っても俺とエリちゃん(=sulvam スタッフ 長友氏)の2人しかいないんだよね。エリちゃんていうのは生産管理とか担ってくれてる人なんだけど。スタジオの広さはこのSalと同じくらいかな。
それで、質問の答えだけど、さっきの返答と被るけど、スタジオでやるって決めたら120%でやる。だらだらやるんじゃなくて一回でやり切る。
一回でやり切ると空いた時間ができて、その時間でタトゥーをいれに行くことが息抜きになっているかもね。今日は手動かす日じゃないな〜って、そんな日はやってても仕方ないから、だったらバイクで走りに行ったりする方がいいしね。そうやってメリハリをつけてる感じ。
(宮):
スタジオは音楽かかってなくて、無音でやってることが多いですよね。
(藤):
事務所?無音だね。でも、俺はYouTubeでラジオ流してたりとか、誰かがアルバム出した時とかは、それ流して聴いてたりするよ。お互い無音の方がやりやすいんだよね。ちっちゃい声でも聴こえるし。
(宮):
なるほど。では次の質問で、
-ファッションのカッコイイ映画はありますか。
ちょっと音楽とか映画の話も聞いてみようかなと。
(藤):
ストロボエッジの〜・・・
(宮):
(途中で遮りながら)藤田さんと話してて一回もファッションの映画の話聞いたことないですよ。恋愛映画?ラブコメ?とか好きですよね。春って恋愛映画多いですよね。
(藤):
多いね。「余命10年」とか俺はまだ観てないんだけど、
あれ洋次郎(RADWIMPS・野田洋次郎氏)が全部ゼロから曲つくってんの。
あの曲はね、内容見てないけど、主題歌聞いただけでやられちゃったから、あれだけは絶対観ようと思ってるんだよね。でも、サブスクで見たいんだよね、映画館で観たら、絶対号泣しちゃうから。
(宮):
別にいいじゃないですか。(笑)
(藤):
映画館は1人で行く派で、しかもいい席とって観るから、隣のカップルとかに引かれちゃうかもしれないじゃん(笑)
(宮):
仲が良い洋次郎さんとかが関わってたら、余計に感じるところもあるんじゃないですか?
(藤):
ある。モノを作ってる友達が俳優であっても、ミュージシャンであっても、やっぱりすごい気になるし、励まされるんだよね。
質問から逸れちゃうけど、衣装として面白いなって思ったのは藤原竜也くん主演の「ダイナー」。普段着る服とかじゃないんだけど、それぞれのキャラに衣装が合ってて、結構レベル高いなと思ったね。動きの中で布がしっかり動いていたから、久々に映画で服に目が行ったね。
(宮):
では次に。
-街中でsulvamを着ている人がいると目に留まるのですが、藤田さんがsulvamをこのように着てほしい。格好いいと思うスタイリングはありますか。
(藤):
ないね。だって自由に着てほしいから。みんなが着てくれているように、それぞれの着方であってほしいから。気に入ってきてもらってたら、それが一番嬉しい。
これにこれでしょ。みたいに、俺はそういうブランドでいたくない。その人に委ねたいから。服作って、ここに並べてもらって、紹介してもらってこそだから。その前の過程をやってるだけだから。
(宮):
-毎シーズン生地を選ぶ際のこだわりはなんでしょう。
(藤):
感覚だよね。なんだろう、生地と型紙の引き方にもよるけど、SS、AWってあるじゃん。夏は涼しい服、冬は暖かい服っていうので、判断基準はあるけど、それ以外はみんなと同じ。でもデニムだけは毎シーズン同じ生地で、クラシックなものを作っているけど、感覚とかシーズンに左右されないもので言ったらそれくらいかな。今シーズンはこういう生地が欲しいな、こういう色味が欲しいな。そういうのって、本当にいつ降りてくるか分からないから。あ、いいな。と思った時はすぐに決まるし、なかなか見つからない時もあるよ。
(宮):
感覚って言葉ってすごい難しい言葉だと思ってて、僕が思うに、経験とか積み重ねてきたものがあるが故に、藤田さんがおっしゃるように「感覚」って言葉で物事を組み立てれるものだと思うんですね。技術がない人が言う「感覚」とは全く違うわけじゃないですか。一般的に言われる感覚と藤田さんの言う感覚って同じ言葉でも僕からすると全然意味が違ってて。
(藤):
そうだね〜。それなりにヨウジヤマモトで教わってきたからね。
(宮):
ヨウジヤマモトの名前が出たので、この質問。
-ヨウジヤマモトで働かれていた時と、sulvamを始めてからで、大きく変わったことはなんでしょうか。
(藤):
ヨウジの型紙を引かなくなったことだね。ヨウジの服のパターンていうのは、大体のものにルールがあって、みんなが見てもヨウジの服だってわかるじゃん?
やっぱり、それはヨウジヤマモトの服。そのルールに縛られずに、自分の作ったルールで服を作ってるのが、sulvam。
(宮):
-藤田さんは毎シーズン手作業でパターンを引かれていると伺っていますが、その中でも特にシャツのパターンに圧倒されています。1シーズンで同じ生地のパターンの違うシャツが多く出ており、手作業ということと合わせて、他のブランドと異なるsulvamの色だと感じています。このように同ファブリックでパターン違いのシャツを多く出されている理由をお聞きしたいです。
(藤):
シャツが好きだから。シャツが俺の中で下着だから。
(宮):
もともと文化的にも、そうですもんね。
(藤):
シャツってパンツ代わりになってて、股下までボタンがあって、それを閉めることでワンピースみたいに下着にしてたの。それが上だけになった、ってだけなんだけど、俺の中でタンクトップと同じくらい肌着なんだよね。自分の素肌に一番近い服として、動きやすさが大前提。同生地でいっぱい作るのはコレクション制作のリズムを作るためで最初にばっとやっちゃうんだよね。癖かも。
(宮):
やっぱり、sulvamってシャツがすごく売れてるイメージです。
今の内容も合わせてお客様に伝えていきますね。次は、
- コラボレーションしてみたいブランドはありますか?
(藤):
まあ、現にコラボレーションを正式にやってるのはKOZABUROなんだよね。
で、これからまたやる予定があるんだけど、だから昨日もここに来る前に右足が痛い中ミシン踏んで、トワル作って、パターン引いて、ってやってきたんだけど。
※藤田氏は神戸に来られる数日前にバイクで事故を起こし、負傷されています。
(宮):
それは自分が悪い(笑)
(藤):
そのできたものを、KOZABUROに渡して、見てもらって、どうデザインを乗せてくるか、どう変化させてくるかってのを見て、進めてる感じ。唯一、KOZABUROだけが一緒にやっている。あと、Wネームっていうか、ウチの小物はED ROBERT JUDSONの江崎くんがやってくれてる。アクセサリーとか小物のクオリティに関しては江崎くんが抜群だと思ってる。それくらいかな。
(宮):
次面白い質問です。
ー 国内と国外で売れるアイテムの人気の違いや傾向はどう違いますか。
(藤):
あるよー。めちゃくちゃあるよね。今はおかげさまで、取引先の件数で言うと、日本で25社、海外で24社とほぼ一緒の数なのね。人気の型は同じようにオーダーついたりするんだけど、日本はこれ。海外はこれ。みたいな感じで割れるものはハッキリ割れるの。海外は特に強いアイテムがつくんだよね。うちって普通の服が売れないブランドだと思ってるんだよ。sulvamで白いロンTが出てても買わないでしょ?きれいなボタンダウンのシャツが出てても買わないでしょ?
それを買うなら違うブランドで買うわけじゃん。だからクラシックなもの、テーラードと言われるものを作るとしたら、ある程度デザインを振り切りないと、sulvamの意味がないんだよね。海外は特にそれをピックするところが多いかな。
(宮):
海外のセレクトショップのスタイリングとか見てても、強いところはかなり強いですもんね。
(藤):
そうだね。色んな解釈があるんだな、って見てる。でもそれが一つの正解だから、俺は嬉しいよね。
(宮):
後半に差し掛かってます。
-もしセカンドラインを立ち上げるとするなら、構想などはありますか。
(藤):
セカンドラインではないんだけど、今履いてるこのブーツDannerと、sulvamでライセンスをもらってDanner-Sっていうブランドをスタートするんだよ。
sulvam 22SSでリリースされたDannerとのコラボレーションブーツ
Dannerって靴のブランドだからアパレルが少なくて、だからDanner-Sに関してはアパレルをメインに展開していくだよね。
俺が10代、20代の時に、古着からファッションに入ってるからデニムが好きで。
俺がアメカジ全盛期の時には買い漁ってて、今でもクローゼットにあるんだよね。頭の中にはまだ作ってない服、青春時代の服たちが沢山あるんだけど、それをsulvamでやる意味は無いからDanner-Sで作っていこうと思ってる。
(宮):
今、青春時代の話が出たのでこちら。
-専門学生時代やブランド駆け出し時代にしておいてよかったこと、必ずすべきだと思うこと。またやってみたかったが出来なかった取り組みはありますか。
(藤):
専門学校時代は、文化服装学院の夜間に行ってて。でも籍だけあっただけで、昼間は地元の千葉、柏のセレクトショップで働いてたんだよね。けど、レジが開いてないと学校に行かせてくれなかったから、ほとんどいけなくて。
だから、学校ではパターンも何も教わってない。ヨウジ社で初めて教わった。ミシンすら踏んだことなかったからね。俺にとってはヨウジ社が学校みたいなもんだね。
それで、質問に答えるけど、やってみたかったけど出来なかったことなんて、言ったらいっぱいあるよ。でもそんなもんは忘れた。生きていたら、全部できるわけないしね。
けど、やっといて良かった事と、これだけはやっておいた方が良い事は一個だけあって。sulvamって最初の3年間は1人でやってて、友達もすごく少なかったから、友達の友達とかを呼んで、車を出してもらって搬入をしてたの。ラックのレンタルも全部自分でやって、PCもなかったから電話一本でやりとりしてて。それを経験して今になって思うことは、その3年間って全部の過程を1人で覚えたから、それで仲間に仕事を振れるの。質問された時に分からないことは一切無いの。何かを始める時に、まず自分でやってみると、結果的に仕事の効率も良くなるし、レベルアップまでが早いんだよね。
(宮):
確かに。僕もそうでした。では、最後の質問です。
-パリにアトリエを構えて「街の人との距離を縮めたい。パリでしかできないことをやってみようという気持ちも芽生えた」と記事にて拝見しましたが、パリでしか出来ないこととはなんですか?
(藤):
まず、俺がパリに行ってずっと感じてるのは、俗にいうパリコレの時は全世界から人が集まってくるんだよ、バイヤー、ジャーナリスト、あとお洒落ピープルたちが、もう、すごいわけよ、著名人も多いしね。でもそのウィークが終わった瞬間、パリ在住の人達だけになると、結局お洒落だなって人がいないってこと。みんな服を大事に着るし、お金がないからもあるんだけど、服にお金をかけないんだよ。現地の若い子たちもお洒落はしたがってるんだけど、例えばsulvamの服を買おうとしても税関を通してしまうと値段が高くなるし、なんなら日本で売られてる値段でさえも、その子達には手が届かないの。そこで俺がパリにアトリエを構えることで、少しでも手を届かせられるようにしたい。合わせてショールームとしての機能も併せ持つことで、海外の雑誌だったりでsulvamの服を使いたい、って言われた時に対応できるようになる。とにかく、現地の人とコミュニケーションを取りたい。それでオーダーメイドの服を作ってあげたい。その中でもシャツを一番にやりたいと思ってて、なんなら、シャツ屋さんをやりたい。なんでかというと、シャツはブランドの軸だと思ってるから。買い換えるという選択肢じゃなくて、ずっと着てもらうためにアトリエではお直しもやる。そうして根付かせて行って、意識を変えられれば最高だよね。そんな感じかな。
(宮):
一通り終わりましたが、今日来ていただいている方の中で、ご質問がある方がいれば聞いていただいて大丈夫ですよ。
(来場者):
じゃあ、一つご質問させていただきたいです。
メンタル的に沈んだりすることはありますか?あったとしたら、どうやって対処していますか。
(藤):
あるよ。でもそんな時の答えは一つだけ。病院に行け。
・・・冗談はさておき、人間だから浮き沈みは絶対あるじゃん。大なり小なり。その沈んだ時に気付かないといけない。何が原因かを意識するようにする。落ちてても気合いで頑張れる時と、本当にどうしようもない時とかがあるから自分がどっちの状態なのか。それでも首が回らなくて動けない時は病院行け。気づけるようになったらバランス取れるようになるから。
(森):
まだまだお話しお伺いしたいところですが、一旦区切りとして本日は貴重なお時間をありがとうございました!
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展示会の際に伺えないことを含め、また新たなsulvam、そして藤田氏の側面を垣間見ることができました。物事は考え方一つで全く違う見え方をする物です。
藤田氏のような真っ直ぐブレない、貫き通す様を見習いたいものです。
今後もMuktaから、僕たちなりの解釈でsulvamをご提案していきますので
チェックしていただけますと幸いです。
森崎
sulvam 22SS Collection
Available Now in Store & EC
https://mukta.jp/collections/sulvam