Diary 265 - はじめまして。/ LM.RT

Diary 265 - はじめまして。/ LM.RT

今シーズン、Mukta / Salでは新たにLM.RTの取り扱いがスタートした。

今季、僕たちがテーマに掲げているNew Standardは、ずっとメンズウェアの中心にあり続けてきたものを、ただクラシックとして扱うのではなく、シルエットや素材、着方を通して、もう一度自分たちなりのスタンダードとして考えること。そんなことを考えていたタイミングで出会ったのがこのLM.RT。

彼のコレクションを見ていると、まず目に入るのは馴染みのあるメンズウェアだ。

ジャケット、トラウザー、コート、シャツ。
決して奇抜な形ではないけれど、少し近づいてみると様子が変わる。ジャケットの構造、袖口の処理、ボタンやファスナー、レイヤードの仕方。一見クラシックに見える服の中に、ワークウェアの機能性や即興性が入り込んでいる。

テーラリング、ワークウェア、アクションスポーツ、アート。
一見すると離れているようなものが、彼自身の経歴の中ではひとつの線としてつながっていて、その背景からLM.RTが提案するのが、“Future Luxury”という考え方。

アヴァンギャルドなスペクタクルでも、既存のクラシックラグジュアリーでもない。ユーティリティウェアの合理性や強さと、テーラリングの精緻な技術や素材を掛け合わせることで、その中間にある新しいメンズウェアを探っているんだと思う。

LM.RTが面白いのは、新しい形を発明しようとするのではなく、僕たちがすでに知っている服の見え方を少しだけ変えてしまうところなのだと思う。

ブランド自身も、極端なシルエットではなく「refined, wearable archetypes=洗練された、着ることのできる原型」を重視している。そして表面的な派手さではなく、生地や付属、留め具といったディテールに物語を潜ませる。

遠くから見ると普通でも、近づくとおや?なバランス。
その距離感がとてもいい。

第一便はテクニカルなトレンチコートに、パンツはジョガーとトラウザーの2種。シルクカットソーも含め、オンタイムで着たくなるラインナップが揃っています。

彼は服を「完成されたスタイル」として提示していない。

“Where I Come From”
“Where I Belong”
“Where I Hope to Go”

——自分がどこから来たのか。
いまどこにいるのか。
そして、これからどこへ行きたいのか。

その三つを毎朝、自分自身でつなぎ合わせることが彼らのパーソナルスタイルだと言う。

過去を捨てて新しくなるのではなく、過去に留まり続けるわけでもない。
持っているものを選び直し、重ね直し、少しずつ編集していく。
それは服の着方についての話でありながら、今季僕たちが考えているNew Standardにも近い気がするな。

スタンダードという言葉は、ともすると「変わらないもの」を意味するけど、でも僕たちは今季、むしろ逆のものともとれるスタンスも持つ。

時代や生活が変われば、スタンダードも変わっていい。スーツはもっと自由でいいし、ワークウェアはもっとエレガントでもいい。ミリタリーも、本来の文脈から離れて着ることで違うものに見えてくる。既にあるメンズウェアを壊すのではなく、少しだけ解釈をずらしてみる。LM.RTの服には、そんな余白があると思う。

ブランドにとってもデビューコレクション。

まずは店頭でのご案内になりますが、皆様にもぜひお楽しみいただければ幸いです。

吉國

LM.RTは、Liam Maher Rural Tailorの頭文字。デザイナーのLiam Maher (リアム・マーハー)氏は、アイルランドのテーラーとウェールズの織工をルーツに、アイルランド、イギリス、アメリカを経て、現在はデンマークが拠点。ファインアートと演劇を学び、その後はTimberland、Burton、Denhamでのクリエイティブに携わり、Visvimではアートディレクションのコンサルティングなど、なんだかすごい経歴。リアムさんは、自分は写真でしか拝見したことがないが、すごいオーラを放つ白髭を蓄えた紳士なおじ様、と内海からは聞いている。

確かに渋くてかっこいい。。

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