Diary 236 - 年の瀬
Diary 236 - 年の瀬
今年も、あと一週間。街にも少しずつ年の瀬の空気が漂ってきました。この時期、けっこう好きなんですよね。人通りが減っていくにつれて、今年の終わりというより、世界そのものが静かにフェードアウトしていくような感覚になる。そんな空気の中にいると、自然と心が落ち着いて、少し研ぎ澄まされていく。今年の記憶を振り返るように、いろんな場面がふわふわと浮かび上がってくる。
今年の一番の買いものって、何だっただろう。洋服が好きな人間なら、きっと毎年考えてしまうことです。今年を振り返ってみると、これまで穿いてきたパンツのことがいくつか頭に浮かんできて、その中に、昔よく穿いていた Kozaburo のパンツも混ざっていました。最近は手に取っていないけれど、不思議と記憶には残っている。そういう服って、きっと自分の中にちゃんと時間を刻んでくれていたものなんだと思います。


6、7年ほど前、和洋折衷的な感覚や、古いものと新しいものが混ざり合うスタイルに惹かれていた時期がありました。Kozaburo の洋服は、そんな感覚を自然に形にしてくれる存在でした。メンズボトムスの王道を踏まえながら、今の感覚でつくられた“男らしさ”。その姿勢に、惹かれていたんだと思います。


そして今回ご紹介するのが、Kozaburoの新作デニム。細めのフレアというシルエットも、今の気分にちょうどいい。ブーツカットといえば、Lee や Wrangler に代表されるカウボーイスタイルの定番。ただ正直、僕自身はそれらのクラシックなブーツカットを履いてきませんでした。どこか、しっくりこなかったんです。骨盤まわりに自然にフィットする、やや浅めの股上。ひざに入ったタックが、足の動きやすさと、動いたときの綺麗なドレープを生む。ガシッとした生地感ながら、立っても動いてもシルエットが崩れにくい。だからこそ、しっくりくる。
最近、細いパンツもいいなと思っています。体にすっと沿うくらいのフィット。それだけで、自然と姿勢が整う感じがする。このデニムは、“変わりたい”ではなく、“アップデートしたい”自分を応援してくれる一本。
時を刻んでくれるパンツは、きっと、こういうタイミングで出会うものなんだと思います。
Kozaburo / Looper Boot Cut Jeans - Black
ヨシダユウキ
いつもの店前が不思議と静かで、今年の終わりと、新しい年の気配が同時に漂っている。今年も残すところあとわずか。今年あった楽しかったこと、面白かったこと、是非聞かせてください。張り切って、お待ちしております。
