Diary 034 - メリークリスマスの戦場

Diary 034 - メリークリスマスの戦場
寝ぼけてるとか、急いでいるとか、何らかの理由でニットなんかを前後逆に着てしまう時がある。あの着心地の悪さったらない。でも、ブルゾンやジャケットは、前後逆に着ることはないけれど、意図的に裏返して着ることはよくある。いつも着慣れた服を裏返した途端、言いようがない新鮮味を感じることがある。
このタキシード型のジャケットとスラックス型の2タックパンツは、本来「前」に来るはずの前合わせやタックを「後ろ」にすることで、前後を逆転させている。そこには新たなシルエットが生まれている。メンズ服の中で最も形式的なスーツを、最も簡単に見えるやり方で崩す。それはちょうど即興演奏と似たようなもので、簡単そうで実は最も難しいことの一つだろう。宮下氏は類い稀なセンスをもとに、メンズのワードローブたちとそうやってセッションをしている。日本から見ればブラジルは真下にあるかもしれないが、ブラジルからしても日本は真下にあるように、絶対的に正しいことなんてこの世に一つもないと教えてくれる。洋服に携わる各個人が、"独奏家"として孤高の精神を持ち合わせて欲しいという願いから名付けられたブランド名の通り、世の中のはみ出しものに希望を抱かせてくれるような、そんな服作りだと思う。でも、そんなにシリアスに捉えなくていい。だってこの服めっちゃファニーやん。

戦場のメリークリスマス。

ひっくり返すと、メリークリスマスの戦場。デパ地下やエルメスなどの店舗の行列の感じね。

メリークリスマスの炎上。バイト中に無断でケーキを食べてるところをSNSにアップするとかで炎上するとかね。

メリークリスマスを献上。誰に？うやうやしく言うもんじゃないから。

メリークリスマスと誕生。クリスマスと誕生日プレゼント一緒にされるやつね。買ってもらえる金額は決して倍にならない。

メリークリスマスを銭湯。銭湯はその日だけヤ○ザ多そうだよね。

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戦場のメリークリスマスと、メリークリスマスの戦場。指し示す内容が違うだけで、どちらも間違いではない。表と裏。表裏一体。絶対的に正しい事柄なんて、この世には一つもないんだろうな、って肩の力抜けばいい。絶対的に正しい事柄なんて一つもないんだから、迷ったら面白そうなほうに一歩踏み出せばいい。