Diary 187 - ジャケットを着るということ
Diary 187 - ジャケットを着るということ
ジャケットが好き、ジャケットを着るということが好き。昔からずっとジャケットやスーツには興味があった。ビートルズ(主にジョン・レノン)、オーシャンズ11のブラッド・ピットやトレインポッティングのジョニー・リー・ミラー。寝食を忘れるほど音楽や映画にのめり込み、そこに切っても切り離せないジャケットやスーツに魅了されてきた。今振り返ってみて、それらの経験は自分の糧になっている。
高校生の頃、僕はスーツ量販店で買ったジャケットとパンツ(生地と色が絶妙に異なっていた)を着て、意気揚々と学校へ行った。下級生から先生に間違われて、一日中挨拶され続けたことを思い出した。ビジネススーツや、冠婚葬祭などのフォーマルスーツとは違う、ファッションなジャケットが良いなとその時に思った。
男として、ドレスマンとして、洋服屋として、洋服屋好きとして、ジャケットは自分の基礎を作ってくれている。僕が思うジャケットの好いところは、まずかっこいいところ、次にキリっとしているところ、それに羽織るだけでサマになるところ。そして何より、適度な締め具合で締め付けてくれるところ。緩めのフィット感で、着るのもいいんだけど、愛おしい締め具合でサイズ選びをするのが、My Favorite。(書いてて冗談半分本気半分と思っていたけど、やっぱり締め付けられることは意外と悪くないので、冗談1割本気9割かな。)
体型の変化が気になり出す年頃になってきた。もしかしたら、自分を見つめ直す時期なのかな。ちょっときついとか、ゆるいって感じると、太ったんだな、瘦せたんだなと思う。ジャケットの締め付けを感じる度に、自分を振り返れる。
最近ずっと買おうか悩んでいる2023年のDries Van Notenのネイビージャケット。最新のシーズンだから良いってことはない。あの時分からなかったけど、今なんだってタイミングが来るものなんですよね。最新ではなくても、かっこいい、欲しいって思った時が自分にとっての洋服の旬だと思う。
Dries Van Notenのジャケット。現代的でありながら、クラシックなコードを踏襲している。ジャケットをオーダーして作るのはかなりハードルがあるだろう。Dries Van Notenは、オーダージャケットの雰囲気、作りの堅牢さ、緻密さを担保しながら、ファッションを通した日常を楽しむためのジャケットを毎シーズン提供してくれている。僕が欲しい、いいなって思っていたのは、こんなジャケットだなと思う。高校生の時に出会いたかったとは思うが、今出会えているからいいか。
ジャケットは、自分の今を測ってくれる巻き尺みたいな存在。何年後かにジャケットがきつくなっていた時に、自分を振り返って思い出すのは奥ゆかしいDries Van Notenのジャケットの締め具合だろう。


ボックスシルエットのネイビージャケット。袖にはボタンがなく、パッチポケットの仕様。生地は、Lovat Millsの細かい凹凸のあるホップサック生地。ネイビーブレザーの王道生地であるホップサックながら、肩ひじ張らない端正なジャケット。カチッとしすぎていない着心地とカチッとした見た目のいいとこ取り。今の季節何とかジャケットを羽織りたいとウズウズしているので、この軽さは最高。これからの季節は、ニットやスウェットなどをパンパンに詰め込んで着てやりたいなと思う。






先シーズンのパリッとしたタキシード型のジャケット。入荷した時から今の今まで格好良さの光を失うことなく輝き続けている。こういうジャケットの寿命は恒星くらい長いし、輝き続ける。前合わせは閉めなくてもいいんだよと言われているくらいタイト。開けて羽織った姿が非常にかっこいい。Fox Brothersのウールリネン生地で、漆塗りのようなぬめりのある艶があるが、しわが入っていくのが楽しみなリネンの風合いを感じる。ドレスシーンにもぴったりだけど、着込んで入るシワを楽しみたい。








新作の縦長3Bジャケット。ツヤのあるLovat Millsのヘリンボーン、上品な雰囲気。3Bでカバーオールのような形ながら、土臭くないジャケット。まさに映画「さらば青春の光」のようなモッズ・スタイルの王道みたいな作りをしている。自分らしい新しさを追求していく姿勢、それがモッズという姿勢だと思う。



Collections of Dries Van Noten
ヨシダユウキ