Diary 205 - Be-Spoken
Diary 205 - Be-Spoken
ビスポーク、その語源は"Be Spoken" = "話し合われた" から来ている。テーラーと顧客が、話し合いを重ねて、世の中に2つと存在しない最高のオーダーメイドを実現する。ビスポークスーツやビスポークシューズ、僕たちにはあまり馴染みのないアイテムだが、存在は知っている。ドレスウェアを扱うお店で働いていた僕もビスポークを体験したことはない。いつかは、という気持ちはあるけれど、そんな距離感のままで良いんだと思う。
最高のオーダーメイドという触れ込みよりもむしろ、最高のオーダーメイドをおそらく知っているであろう人が、その上で作ったものに興味があるからだ。
ギャルソンのグレーフーディーに、ドリスのもちもちのトラウザーズを履いて、足元はローファーで。寝癖にキャップを被って、あとはこのコートを羽織れば、おしまい。
デニムショーツに、古着のフーディー。足元はサロモンの山靴。過去の大判のストールをガバっと巻いて、コートをばさっと羽織って。
Dries Van Noten - "Rodgers" 。ジャケットの着丈がそのまま伸びたようなロングコート。コンパクトな肩周りに、ロングな着丈。日本製ウールギャバジン生地のドレープ。カフスには、4つのボタン。ビスポークへの深い理解があるDries Van Notenが作る、モードなコート。
ドレスのスカーフシャツに、エクストリームカシミアのグレーニット。リアの美しいトラウザーズで、足元にはドリスのフラットスリッポン。こういうウールギャバジンのコート、軽くて着込んでもしんどくないから、重宝するんですよね。
クラスの少しとぼけたグレートラウザーズに、タンクトップのまま、コートを羽織る。首元にネクタイを巻きつけて、ビーサンを履いて、お気に入りのキャップを被る。コートを着ていてもカッコつけずに、ありのままで。
お客さんと話し合ってぴったりの1着を決める。僕たちはいわゆるビスポーク屋ではないが、Be - Spokenなお買い物を提案することはできる。このコートはビスポークではなくデザイナーズのコート。そんな世の中に何着かあるデザイナーズのコートを、あなたにしかできない着方で着てもらえるようなことが、僕たちはできると思う。
Dries Van Noten / Rodgers Coat - Black
ヨシダユウキ