Diary 182 - 膨らむ

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これまでファッションデザイナーを含めた多くの人々に多大なる影響を与えてきた、ファッションという言葉を聞くと思い浮かべるブランド、コム・デ・ギャルソン。デザイナー川久保 玲氏はフリーのスタイリストとしての活動を経て、1969年にコムデギャルソンを立ち上げ、それ以降日本を代表するブランドの一つとして、パリモード最前線を走り続けている。

フランス語で「少年のように」を意味するコム・デ・ギャルソンというブランド名の通り、クラシカルなシルエットに対して、アヴァンギャルドな生地を載せたり、見たこともない形の服に、クラシカルな生地を載せたり、子供の自由で奔放なお絵かきというのか、ピカソの独創的な絵画というのか、他の追随を許さない。

その自由で新しいクリエイションの源には、こんなことがあっていいのか、という憤り。コレクションの原動力を問われた時に、もはや使うのも億劫な反骨精神という言葉でインタビューを答える姿が記憶に新しい。僕らが生活している中で思うこと、感じることに、こうすればいいよ、ってアンサーしてくれているというよりもむしろ、そんな状況に甘んじてていいの?そのままでいいの?っていうクエスチョンを投げかけられているような感覚になる。

そんなコム・デ・ギャルソンのフランス製のシャツに特化したライン、COMME des GARÇONS SHIRT。シャツ、をユニフォームという枠組みの中で、新しい自由を体現し、その可能性を追求することを信条としている。そうして、生み出されたシャツはコム・デ・ギャルソンの定番として、多くの洋服好きに愛用されている。その中で、お店に届いたのはCOMME des GARÇONS SHIRTの定番であり、メンズの定番ではない丸襟のシャツ。太陽光を全て跳ね返すくらい真っ白なホワイトと、ネイビーとブルーのロンドンストライプ風の2種類。生地は、ドレスシャツらしい、つやっとしたハリのあるコットン・ポプリン。丸襟のシャツは、英国の超名門パブリックスクール(全寮制の寄宿学校)に通う上流階級の子供たちの制服を起源としている。日本でも幼稚園児がたまに着てますよね。可愛らしい印象と育ちのいい端正な雰囲気を感じる。

イタイさんと丸襟シャツについて話しているときに、マルコム・マクラーレンの名前があがった。セックス・ピストルズのプロデューサー、ワールズエンド、セディショナリーズでお馴染みの彼だ。セディショナリーズでよく丸襟のシャツを作っていたが、パンクな英国紳士とも言える彼が、子どものような無邪気で端正な丸襟シャツを好んで着ていたのはなんだかしっくりくる。

丸襟はコム・デ・ギャルソンの定番であり、コム・デ・ギャルソンの直営店においては、あたかも定番のシャツですよという姿勢でお店に並んでいるだろう。その姿勢は反骨精神であり、コムデギャルソンにも、メンズの定番だけに飽きた僕らにも、通ずるんじゃないかと思う。

コムデギャルソンにとっては、定番。僕たちにとっては新定番。反骨精神が膨らみ続けるとともに、新しい感覚を追い求める僕たちの期待(着たい)も膨らんでいる。

パリッとしたコットン・ポプリンの白シャツは凛としてクール。ポプ凛カシミアのイージーパンツで肩の力を抜いて合わせる。キュートな丸襟をかっこよく

白シャツに、レザーブルゾン。丸襟but男らしく
ストライプの丸襟には、サルバムのサスペンダーパンツ。コム・デ・ギャルソンライクな着こなしだけれど、軽く腕まくりをして、男らしく着たい。

バッファローコートではないムートンブルゾンに、スラックスみたいな反骨精神丸出しのエプロン。丸襟のシャツ、だんだん癖になってきません?
袖が2本のフーディ、カラフルなカットソー、定番のサックスブルーのシャツに、久しぶりにリリースされたスウェット・ショーツもありますよ。

ヨシダユウキ

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