Diary 177 - Not 臭い But らしい

Diary 177 - Not 臭い But らしい

sulvamのレザーガウン。きめ細かく柔らかいゴートスエードを贅沢にたっぷりと使うことで、繊細なドレープが生まれている。荒々しい裁ち端のレザーと裏地。ウエストには共生地のベルト。無骨で粗野な革ジャンは男!って感じでやっぱりかっこいいんだけど、男臭いより、男らしい、がいいなって思うんですよね。そんな、Not 臭いなレザーガウン。

男臭さと男らしさの違いって何なんだろう。葉巻を加えながら客人を威圧するゴッドファーザーは、男臭い。若くて美しい男娼を描いたマイプライベートアイダホは、男らしい。映画や音楽好きの子供だった僕にとっては、ジェームス・ディーン、アラン・ドロン、セルジュ・ゲンズブール、ウディ・アレン、キアヌ・リーヴス、ブラット・ピット、リバー・フェニックス...挙げだせば、きりがないが、僕の中の男らしさを感じる俳優たちに憧れてきた。いくら憧れてもその人になれるわけではないが、話し方、振る舞いなど所作からにじむ、男らしさを少しでも映画から摂取していた。

僕は決してピストルを腰に据えてウェスタンカントリーなバーへ出かけたり、荒野を馬に乗って駆けたりはしないだろう。僕は男らしくありたいのだけど、男臭い生活をしているわけではない。ただ、コートを羽織って、街へ出る。映画スターになる必要はない。彼らの持つ男らしさを纏いたいだけなんです。sulvamが作る洋服は、新しいクラシックウェアであり、ドレスウェアであると思う。sulvam的クラシック=未完成の完成型、と呼べるようなアイテムはクラシックラインという位置づけで、定番化されている。例えば、別注でメンズ用にパターンを引き直してもらったサスペンダーパンツや、ボンテージパンツ。裏地が露出したテーラードジャケットなど。このレザーガウンは、当初からパターンを変えることなく、今シーズン数年ぶりに復刻された。

sulvam / Suede Leather Gown Coat

デザイナー藤田さんと親交のあるロビンさんに話を聞いたところ、藤田さんがレザーガウンを着ていたことをよく覚えているらしく。居酒屋に行ったときにくるくるっと丸めて、足元のカゴに詰め込んでいたのが印象的だったそうです。なんとも男らしい服の着方は、ロビンさんの今のスタイルに通じていると感じる。男臭くない男らしさ。

ヨシダ・ユウゲンズブール

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