毎年、だな

いよいよ6月も折り返しに差し掛かり、ジメジメしたあいつを通り越したらミンミンと蝉がけたたましく鳴き声を上げる季節が来る。毎年だな。

当然のように四季がある。と思い込んでいた自分は、洋服の仕事に携わるようになって暦と季節のズレと、春夏秋冬のグラデーションがその年によってかなり違うように感じるということを知った。実際の気温や湿度は分からないけれど、自分自身の感覚として、そう知った。

だから、それまで以上に季節というものを重んじるようになった。なるべく日中は自然光のみを空間に入れて、出来るだけ空調を避けて生活し、日差しの強さや風の持つ湿度を繊細に感じる。その時食べたいものを食べるのではなく、その時一番美味しいとされる旬の食材を大喜利的に楽しむ。美味しさもそうだし、昔からこういう季節にはこういうの食べたいんだなって日本人のDNAに刻まれてる気になっちゃって、旬の意味が分かった風になる。まあ原理主義者ではないから、それくらいでいい。

それが、季節の楽しみ方。うだる夏の過ごし方。僕は夏をどうやって楽しく過ごすかということを、1年の半分以上は考えている気がする。去年もエモめだった。毎年だな。

特に去年はすごくひどい暑さだったような気がして、SSの後半のS、Summerに対する仕込みをかなり沢山やった。マノロのシャツもそうだし、OCTIだったりFAFのヘンリーネックも、Laid.Bのパンツも。そしてこのWilliam Oweson Förlagのアトリエセットアップもそうだ。

湿度が徐々に高まってきて、正午から日差しがググッと目にかかるようになるのを感じたら、ノーカラーのシャツが着たくなる。毎年だな。

襟モノももちろん良いんだけど、襟モノの役割は既に羽織りと化していて、どちらかというとまだ少し肌寒い夜や、これからの梅雨の季節、またはTooMuch空調に対する対応策として。

素材は柔らかい薄手のコットン。元々は生成りの生地の展開だったものを、もう少しそうだな、上品な作務衣みたいな感覚でインディゴのセットアップとしても着れるように作り替えてもらった。プルオーバーのコットンシャツ - "Atelier Tunic"はツイストしたスリーブ、ループなしのショーツ - "RIVIERA" Shortsはバックサイドに2タック。どちらも素朴な見た目と素材に、最低限のシルエット操作が行われている。

スポーティに振るもいいし、ドレスに振るもいいし...素材の良さを活かすには相反するものを合わせるか、似たものを合わせるか。スイカに塩を合わせるか、そのまま食べるか。

洋服にトレンドという意味でない旬があるとしたら、この服は間違いなく今から美味しくなってくると思う。

William Oweson Förlag / Atelier Shirt, "RIVIERA" Shorts will be available at this weekend.

イタイタイコウ

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