Diary 153 - デニムは夏のパンツ
Diary 153 - デニムは夏のパンツよく冬生まれ顔なんて言われる僕ですが、実は夏生まれの男なんです。そんな僕は暑さにかなり弱いんですが、夏って好きな季節です。強い日差しと真っ青な空、そして真っ白なモクモクの入道雲。情景としても好きですが、色合わせとしても最高ですよね。ブルーとホワイト。
20代前半の頃、僕の夏の装いはデニムに白T。これで夏の大半を過ごしていました。ブルーとホワイト、色合わせが好きというのもありましたが、デニムは夏こそ履くべきパンツだという考えの元、毎日何本かをローテーションして、履いていました。
デニムはエイジングを楽しむものとかよく言われてますよね。1番手取り早いのは汗をかいて、デニムに染み込ませることだと考えています。そうして自分の体に馴染み、自分色になっていく、その表情が見てみたいと思っていました。汗が滲んだデニムは、汗をかくたびに自分のものになっていく。
デニムは夏のパンツ。Wales Bonner / Echo Denim
Wales Bonnerのタキシードデニム。呼び名の通り、サイドラインとウエスト周りには、艶やかなブラックのポリエステルサテンが使われている。デニムはヴィンテージライクな色落ち加工が施されており、ドーナツみたいな見た目をした通称ドーナツボタンのボタンフライ。ゴールドトーンの光沢のあるフロントボタン、リベット。コインポケットには、ブランドのロゴが刺繡されており、バックにはクロコ型押しのレザーパッチ。ドレスライクな素材使い、細身のシルエットに、土臭い色落ちのデニム生地は、ドレスとカジュアルの絶妙なバランス。
Wales Bonner / Saturn Denim Trousers
Wales Bonnerのサターンデニム。ストーンウォッシュ加工を施したライトカラーのデニム。裾は、履きこんだ後に糸をほどき長くしたようなダブルカフスの仕様になっており、ルーズなストレートフィット。背面には、タキシードデニム同様、ブランドロゴ入りのクロコ型押しのレザーパッチ。元々は24awのレディースアイテムでしたが、レディースの緩めはぴったりなのではと思い、仕入れたそうですがメンズでもルーズに履けるサイズ感。ドリスのタキシードに、ボナーのタキシードデニム。デニムにジャケットは王道ですが、タキシードなディテールをしたデニムは、王道のスタイルによりドレスなエッセンスを加えてくれる。足元は履き込んだMishima。
フレッドペリーの長袖ポロシャツを2枚重ね。タイトなデニムに、タイトなトップス。ロンドンストリートなバイブスを感じます。足元はキッズラブゲイトのFred。ブローグがブリティッシュをより引き立ててくれます。
皆さんも感じている通り Wales Bonnerは、メンズウェアへの愛がとんでもなく詰まったブランドだと思います。どんな国であっても、どんなオケージョンであっても、とにかくメンズウェアへの愛という感じです。土臭い、アメリカンなワークパンツ、デニムから、Met Galaのようなレッドカーペットレベルのフォーマルでドレッシーなジャケットまで、メンズウェアへの愛も強く、その幅も広い。
そんなwales bonnerの作るデニムは、ヴィンテージや古着のような汚れた雰囲気と一寸の隙もないドレスライクな雰囲気が入り混じる。20代前半から幾度となくデニムを履いてきた僕も出会ったことがないカッコ良さを感じるし、デザイナーGrace Wales Bonnerの凄みを感じるデニムです。
これは僕の意見ですが、男性の作るワークウェアは古き良きスタイルを大切にしたものが多いように感じます。こうあって欲しいみたいなグッとフォーカスしたロマンが詰まっている。しかし、Graceは女性として自由に、かつ繊細にメンズウェアのカッコいいの融合が出来る。彼女が作るのは、自身のアフリカンなバックグラウンドを通して、無骨ながらも、キリッとしたドレスライクなメンズウェア。そうして、Wales BonnerがWales Bonnerらしくあるのだと思います。

レシスのシャツの背面にシャツがくっついたドッキングシャツに、ボナーのサターンデニム。ライトカラーのデニムはブルー合わせをしちゃいます。肩掛けタックインで、まさしくカオスなカッコ良さ。

ストーンウォッシュのデニムにシャンブレーシャツ。アメリカンカジュアルの教科書的な合わせだと思っています。ルーズゆえにウエストに寄ったシワが美しく見える。思いっきりベルトで縛って、シャツを着て欲しい。僕はデニムに白Tばかり着ている若者だったのに、ドレスウェアを扱う店で働き始めて、働いていく中で2つの自分が溶け合って一つになっていく気がしていました。無骨でありながらドレスが好きな自分にとって、Wales Bonnerのデニムは、似たもの同士かもしれない。ドレス気分の日も、カジュアルな気分の日も、履きたくなるようなデニム。汗だくになって自分のものにしたいって思ってしまう。
やっぱりデニムは夏のパンツ。


ヨシダユウキ