Diary 149 - 風鈴が生む緊張感
Diary 149 - 風鈴が生む緊張感
家に帰る途中、風鈴が鳴った。風鈴の音は良い。涼しさもあるし、どこかピンと張った紐のような緊張した感覚を味わうことが出来る。夏の茹だるような暑さで緩んだ夜をキュッと引き締めてくれる。風鈴は民藝なのか、お守りなのか、美しいものなのか、儀式的なものなのか。馴染み深く、身近だと思うけど、張りつめた空気が漂うもの。
夏の暑さで思考力を奪われた僕は、ついつい見慣れたスタイルになってしまう。501に着古したシャツ、Tシャツみたいな見慣れた定番のスタイルに、緊張感を与えてくれるものは何だろう。
それはカシミヤで作られたTシャツ。オランダ発のニットウェアブランド”extreme cashmere”。流行に左右されず、最高の着心地を体感できるウェアを作り続けており、カシミアという最高級の素材にフォーカスして、毎シーズン長く愛せるアイテムに、新しいスタイルや視点を提案してくれる。カシミアのTシャツ、タキシードジーンズ、ペタンコの外羽根シューズ。
カシミアのTシャツ、刺し子のジーンズ、グレーのサロモン。ベルト代わりの紐もカシミア。
extreme cashmere / N°394 James Virginia
ブランド初めてのグラフィックウェアは、モダニズム文学の代表的な作家ヴァージニア・ウルフのポートレートをスクリーンプリントしている。柔らかさと通気性を兼ね備えたカシミア30%とコットン70%の軽量混紡で作られたカットソー。マシーンウォッシュ可能なカシミアのTシャツは、夏の停滞しがちなスタイルに、張りつめた緊張感の漂う美しさを加えてくれる。
なんて夏のカシミアに思いを馳せ、文字を打っているうちにこちらは完売してしまったので、最高なロンTも紹介しておこうと思う。extreme cashmere / N°347 Aries
程よいルーズさ、エッセンシャルなロンT。グラフィックTシャツ同様、コットンカシミアのカットソー。モンゴル奥地の山羊から採れる控えめに言っても最高のカシミアを使用している。切りっぱなしの裾と袖口。ニットウェアの持つ雰囲気は、やっぱりコットンのそれとは、全く異なる。

ウィリアムのリネンショーツに、カシミアのロンT。やっぱりベルト代わりのカシミア紐。
風鈴の音は日本人にとって身近であるが、その音を聞くのは久しぶりだった。聞いた瞬間に、夏の夜は緊張を帯び、いつもの暑い夜がピリッと張りつめて、清涼な空気が感じられた。
夏のカシミアは、Tシャツという馴染み深いアイテムに、気が引き締まるような緊張感と柔らかな安心感を与えてくれる。
ヨシダユウキ