身近、そして幻想的 〜19AW Buying Review "Stefan Cooke"
早いもので、気づけばMukta/Salに入社して2年が経つ。
21歳の時に身を置かせてもらってから、もうすぐ23歳になろうとしている。
このわずか2年の中でも変わらない部分と、変わった部分、そして再確認したことがいくつもある。
それだけメトロノームのように不安定だった自分に嬉しさと悔しさ、どちらの感情も浮かび上がって来る。
やはり身近にいる人には大きく影響されるもので、それでいて身近にはほとんど同じような人も、対極に位置するような人も、様々な人間がいる。
最近再確認したことで言えば、以前までは自分はどこに属している人間なのかと悩んだ時期もあったが、今はそうした人たちとの出会いや交流が自分を形成しているため、自分は自分自身に属せばいいということかしら。
あまり行っていなかった大学の講義で、ギリシャ哲学における「中庸」という言葉は自分の中で強く残っている。
それは決して中立とは違う、つまり0でも100でも50でも無い、「間」を取るということだ。
Stefan Cookeと、パートナーであるJake Burtのデザイナーデュオ率いるこの"Stefan Cooke"というブランドが表現するクリエイションには、その「中庸」の姿勢が感じ取れる気がしている。
CSMのMAコレクションでL’Oréal Professionnel Creative Awardを受賞し(過去にはWales Bonnerも受賞)、卒業後、Walter Van Beirendonck, Craig Green, そして現Maison MargielaディレクターであるJohn Gallianoのもとで経験を積む。
2018年にはH&Mデザインアワードを受賞し、順調にそして華やかに見えるほど自身のブランド設立への道を歩んでいた彼らのコレクションはストイックなほど日常的だ。ただし存分に非日常的な要素を孕んでもいるのだが。
実験的、革新的。それでいて現実的。そして何よりロマンチックで幻想的。
メンズのワードローブという概念を分解、解体し、新しいテキスタイルに載せる、もしくは違和感のあるカッティングに載せたその服は大いに既視感のある、見たことが無いものとして生み出されていく。
以前のブログでpenultimateについて触れた時、ウェアラブルアートというキーワードを使ったが、これも別視点でのウェアラブルアートと言えるだろう。
英国生まれらしい品格と、現実主義者的なストリートウェアとしての視点、そして好奇心に満ちた手法。
それはこの19AWシーズンが如実に現れている気がする。
例えば、ロンドンのおじさんが着ていそうな、クルミボタンが付いた、クラシックなブリティッシュウール生地のコートは大きくカッティングされ、大判のチェックマフラーはワイヤーが入ることで意思をもったように。ジップシャツはゴーストプリントで表現されたフリンジは本当に揺れているかのよう。
そして今回ありがたいことにSS19シーズンのアーカイブコレクションもお願いして展開できることになりました。
コムデギャルソン、そして亡きマックイーンにリスペクトを捧げたようなバイアスチェックのコレクション。
こちらは実物を見てもらえると驚きが待っているかと。
明日より展開となります。
当店ではファーストとなるコレクションと、未入荷のコレクション。
シーズンを越えて、お楽しみください。
Check Stefan Cooke Collection
https://mukta.jp/collections/stefan-cooke
イタイタイコウ