Diary 096 Back to Black

夏に着る〝黒〟が気分です。洋服のベーシックなカラーであり、一番思考する要素の多いカラーだと思います。シンプルで複雑。高級感やフォーマルな雰囲気から、クールでモダンな印象まで、大袈裟だけど無限の表現力を持つのが〝黒〟の特徴だと思います。

ファッションにおいては、それにリズムがあったり、生きてたり、暗くて顔が見えないナイトクラブでミラーボールの反射が顔に当たる時みたいに、黒が流動的であればもっと良い。KIKO KOSTADINOV / NESEBUR EMBROIDERED TROUSER
50-60年代のイタリアの舞台映画というシーズンテーマに沿った、舞台衣装的な膝周りの装飾が特徴的。見る人によってはお花とも太陽とも取れそうな同色の刺繍は、彼の出身国であるブルガリアの伝統刺繍を模したデザイン。 ストラップの止め位置でボンテージパンツのような見栄えに。その日の気分で表情を変えて遊んでください。
KIKO KOSTADINOV / TONINO UTILITY TROUSER
デタッチャブルの仕様や、サイドに上から生地を被せて付属させたポケットなど、よりユーティリティに特化したディテールが盛り込まれています。バックジップにのみシルバーを採用することで、ストンとコンパクトに落ちるストレートシルエットの中に、いい塩梅のノイズが入る。ジップの開け閉めや、取り外しなどでテンポを変えて履いてあげるのが楽しい。いいよね、トゥーウェイ・マルチウェイ。

NESEBUR EMBROIDERED TROUSERはワイドスラックスのようなシルエット。TONINO UTILITY TROUSERはコンパクトなシルエットで、どちらもクリーンな印象。なので生地はウールギャバジンを使用している、と言いたいところですが、ポリエステルの割合が半分以上。KIKOのクリエーションは明確なテーマを設けたモノづくりの中に、しっかりと本人のパーソナルな部分を残してくるという印象があります。なので、舞台衣装というシーズンテーマの中でもユーティリティウェアの枠を逸脱しすぎないよう、利便性やドライタッチな風合いによる快適性を意識した結果、このような着地になったのかなって。
同色の装飾や刺繍、奥行きのあるパターンや変化するシルエットなど、彼が具現化する黒の気迫。それがこのパンツの最大の魅力だと思っています。落ち着き、重厚感、威厳。暗い色が持つ要素の最大値を兼ね備える。

夏場に着る黒は、スタイリングはもちろん、気持ちまで引き締めてくれる。理屈は分からないけど気合が入るんですよね。浮き足立つ季節にそんな黒をシンプルに着て欲しい。今期も終盤ですがシーズンテーマである〝Back to Basic〟を意識して、気取らず背伸びせず楽しんでもらえると幸いです。

Yuta Hirose
最近ハマってるトリュフ塩のポテトチップス
a little bit spice

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