街を歩く、ひねくれた男 (SS25 ① )


神戸という街について考えていた

自身の拠点を神戸の中心部に置いてから、かれこれ10年が経とうとしている。

いわゆる神戸のウェッサイ出身の自分にとって、いわばMukta / Salがあるのはセントラル〜イーストエリア。

やはり、海と山の街なんだなと改めて感じる。

拠点にして10年が経とうとしている今、ふと神戸という街について考えていた。

自分のアイデンティティを語るにおいてこの街の存在は切っても切り離せない。神戸という街を考えることは、同じく自己形成に大いに影響を与えてきた洋服について考えることと同義だろうと思う。

ここ数年、神戸の街を描いている本を買い、たくさん読み漁った。

神戸というまちという本を買った。

神戸出身の作家、陳舜臣の随筆で、下記はその引用。

"神戸の町の性格をひと口でいえば、その海洋性のあかるさにある。といってよいだろう。裏がえしていえば、陰翳の欠如であろうか。六甲の山なみは裳裾をひいて、海にくずれこんでいる。神戸の町はそのなだらかなスカートのうえに乗っかっているようで、地形的にも、なんとなくなまめいたところがある。だが、そのなまめかしさにしても、いたって開放的なのだ。"

うん、神戸はすごく明るい街だ。風通しがいい街だ。活気がある、とはまた違う明るさ。陰影の欠如という言葉はすごくピッタリだと思う。裏も表もない感じ。アメリカもののリーバイスに、フランスもののスモッグを合わせるような、別に狙ってない捻くれ。裏も表もない。陽キャでも陰キャでもない。

神戸は歩くのが楽しい街だ。裏路地的なワクワクした隠れ道は少ないけれど、基本的にどの通りも風通しが良くて、特に晴れた日はただブラブラするだけでいい。疲れたら喫茶店や老舗のバーはそこらに無限にあるし、休憩に使ったらいい。

僕のお気に入りはお店の近くにある喫茶店、こうべっこ。タバコ吸えるけど、PC禁止なんだよな。でもこの前隣のおじさんがiPad Proで作業してたけど、それはOKらしい。

さて、花粉が鼻周りをうろちょろするようになって、お店には春夏コレクションが出揃ってきた。

この神戸という街に馴染む服をたくさん仕入れられたと思う。自分はやはりひねくれはあるのだけれど、ひねくれはつまり裏も表もないということなんだよね。メビウスの輪みたいなことでしょう。

(ローカル・シティを意識することがグローバリズム・ファッション・ゲームに対抗する唯一の手段なのではないかと思っています。そういえばデムナがGUCCIに行きますね。)

毎シーズン発注してからお店に届くのは半年以上あとのことなので、いつも届いてからドキドキしながら自己採点するのだけれど、今季はまあまあ良いのでは。どうですかね。感想聞かせてもらえると嬉しいです。

Mukta / Sal SS25 Collection:
"Walking City, A Twisted Man"「街を歩く、ひねくれた男」

Mukta:
BIBLIOTHERK
C.P. COMPANY
COMME DES GARÇONS SHIRT
FAF / FAKE AS FLOWERS
KIKO KOSTADINOV
KOZABURO
LES SIX
OMAR AFRIDI
PENULTIMATE
RANDY
SULVAM

Sal:
CAMISAS MANOLO
CLASS
DRIES VAN NOTEN
ENSOU.
EXTREME CASHMERE
GABRIELA COLL GARMENTS
RIER
WALES BONNER
WILLIAM OWESON FÖRLAG

etc..

半年間、お付き合いくださいませ。

あ、そうだ今年から新しいスタッフが2人増えるんですよ。

僕もブログ書くの、商品も接客の内容も人柄もネタバレしてるみたいで、お店に来る時の心地よい緊張感がなくなっちゃうんじゃないかなあ、なんだかなあと思っていたのですが、せっかく新しい仲間が増えるし再開することにしました。でも書ききれないこともたくさんあると思うので、ぜひお店に遊びにきてください。いつでも楽しい空間だと思いますよ。

イタイ

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