Diary 081 - "浪費者"

Diary 081 - "浪費者"
以前読んだ本の中で、浪費と消費の違いについて哲学的な観点で触れられていた。端的に言えば、「消費ではなく浪費をすることが現代社会には必要である。浪費を行うことは贅沢するということであり、人生を豊かにする上で欠かせない行為である。贅沢をするということは、単に無駄遣いをするということではなく、良いものを豊かな感性で受け止めて、それを咀嚼して楽しむことである。」
Mukta / Salで取り扱う洋服は、いわゆる贅沢品がほとんどであり、だけれども豊かな生活を送るという意味では必要不可欠なものでもある。洋服に限らず、この不要であり必要という人間らしい繊細な感覚は、ついつい忘れてしまいそうになるけれど、浪費的なお買い物という行為はそのことを思い出させてくれる。

ただ、その浪費的なお買い物をするためには、適度な体型維持のために適度な食事や運動を心がけるように、より良い1日を過ごすために寝起きの選曲に少しこだわるように、自分の思考をクリアにするために帰りの電車で眠いながら5分だけ読書するように、日頃から適度に感性を熟成させつつ生活しないといけないよなあ、と思う。"SHOPPER(=ショップする人、浪費者)"と名付けたこのアノラック・パーカーは、このパーカーを着ている人がより良い"浪費"活動をするために、そのサポートとなるような服として、製作を依頼した。ひらめきとユーモアで手に取る人に半ば強制的に(けれどジェントルに)思考を促すものづくりを行うBETA POSTというブランドに、このコンセプトはすごくマッチすると思った。
ベースにしたのは「ハンドル・パッカブル・パーカー」。その名前の通り、一般的なパッカブル・パーカーと違い、サイドのメッシュ・ベンチレーション部にパーカーを収納するとそれ自体が付属のバッグのハンドルとなる。つまり、ただコンパクトになるだけではなく、収納することで別の機能を持ったものへとトランスフォームする。ハンドルから出したところ。トープはシワシワが似合う。
付属のショッパーを付けたままだと意味不明な遊びが生まれる。これで着るのもアリかも
仕切り付きのカンガルーポケットに、ストレスフリーなリボン仕様のリブ、付属のカラビナには鍵とかコインケースとかをつけてもらえるといいと思う。お買い物をした後は、脱いで収納すれば「ショッパー」として使える。付属のカラビナにドリスのキーリングをドッキング。可愛い。
フリルシャツとの合わせでさらに品良く。ホワイト/オレンジカラーはエルメスくらいの気持ちで着たい感。
シルキーな柔らかいナイロンは、撥水する生地の中で、ちょっとお買い物に行く時に一番手に取りたくなる、地肌で着たい生地感のもの(地肌にナイロン着るのあんまり好きじゃないので)かつ、タンクトップの上から被るだけのハーフジップ仕様(自分論でタンクトップにフルジップパーカーだと人によってはちょっとウザい、プルオーバーはシンプルに着づらい)。シャツっぽい感覚で着てもらえると嬉しい。ちょっとそこまで。本屋さんやスーパー、レコードショップに雑貨屋でも。スポーティながら少し品良い面構え。漂白したくらい真っ白なカシミアパンツと合わせる。 
カラーは4色。良いデザインの原則を掲げたDieter Ramsにリスペクトを込めたホワイト/オレンジカラーと、もう少し都市に紛れたい人に向けたネイビー/トープカラー。BETA POSTの事務所にもDieter Rams デザインのレコードプレーヤーがある。
金額の大小ではなく、いつもより少しだけ繊細にお買い物をする。それは本屋さんでもスーパーでもどこでもできると思う。もちろん、洋服も少しだけ繊細に見てあげてください。

僕はサウナに行かないから整う感覚はわからないけど、あると落ち着くiPhoneみたいに持ち歩いてもらえると幸いです。

https://mukta.jp/collections/beta-post
イタイタイコウ
@Omar Afridi・菊田ハウス

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