Diary 154 - 何も考えられない

どうも、お久しぶりです。イタイです。ヨーロッパ出張を終えすっかり強気になってしまった僕は、なんの余韻も持たせず、ブツ切りに新しいシーズンへと移行を始めました。前まではオンタイムで着れるものにこだわっていたけれど、いつ来てもらっても僕たちは最高のパフォーマンスをしているし、ラインナップだって常に全力投球をしている。出し惜しみなんてしていたら世界が滅亡してしまう。まずは全然夏らしくも秋らしくも冬らしくももちろん春らしくもない、黒いサスペンダースラックスから新しいシーズンを始めてみます。今季のテーマは"This is a man"。ジェンダーが曖昧になっていく中で男らしさを追求してみたいと思います。ウダウダ言わず男らしくいきましょう。以下吉田くんにバトンタッチ。

Diary 154 - 何も考えられない

最近本当に暑い。暑さは僕らの思考力を奪っていく、何も考えられない。

僕は、前回のブログで夏は好きな季節だと言っていました。それは情景が好きだからということに加えて、何も考えられなくなるからです。思考力が落ちていくにつれて、スポットライトが当たるみたいな、最小限の部分に集中していく感覚になるんですよね。今の自分が考えていることの核心に迫ったり、大事な記憶が鮮明に思い出されたりするんです。魚を吊るして天日で乾燥させて、水分を飛ばすことで旨味が凝縮していくように、ゆらゆらと考えていたことが、整理されて集約されていくように感じさせてくれる。夏は、青い空と白い雲を眺めながら考え事をしているうちに、自分自身がチューニングされていき、今までぼんやりしていたものが自分らしさを象っていくような季節。新しい気分のサスペンダーパンツが届きました。元々はレディースの定番のパンツを、パターンからメンズの仕様に作り替えてもらいました。ゆるっとしたストレートシルエット、ハリコシのあるウールギャバジン、同素材のサスペンダーベルトにサイドアジャスター。クラシカルなトラウザーズらしい面構えながらも、懐かしいモードな雰囲気も漂っている。FAFのマシュマロみたいなフーディーをタックイン。サスペンダーパンツは何をタックインしても成立してしまう受け皿がある。

ある暑い日に駅から考えごとをしながら歩いていると、黒い服しか着ていなかった昔の自分が鮮明に思い出されてきました。10代後半の僕はヨウジヤマモトに憧れていました、が、すでに天邪鬼になっていた僕は、黒というキーワードだけを抽出して取り入れていました。

そんなこともあって、黒のワイドスラックスは何本も持っていたし、自分の定番でした。霧がかった記憶は、夏の暑さに当てられて段々と約分されていき、シンプルな数字になっていく。ぼんやりとしていた色が、吸い込まれるような黒になっていく。そして、分かったことは、黒のパンツは自分の定番であるということ。

ウィリアムのリネンジャケットをグシャッとイン。ウールギャバジンのドレープ感は陽炎のようにゆらゆらと美しく流れる。気分は北野映画かヴィム・ヴェンダース。足元はもちろんミシマ。新作の眼鏡は8月頭ごろにご紹介できそうです。ボタンでウエスト位置が調整できるサスペンダー。ブラックの光沢のあるウールギャバジンのパンツは、今も昔も一本は持っておきたい定番パンツ。合わせたCLASSのリフレクタースウェットは今も昔も一着も持っておかなくていいブッ飛んだ非定番スウェット。

サスペンダーベルトは垂らしてもかわいい。サスペンダーがあるだけでただの黒いパンツじゃなくなるのが楽しいです。

 

夏の暑さの中でモヤがかかったように不鮮明で揺れている風景を見たら、ウールギャバジンのドレープを思い出してください。

 

sulvam / Classic Suspender Slacks - Black

ヨシダユウキ

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