Diary 226 - 熱

Diary 226 - 熱

ピリッと刺激を感じるほど、寒さが増してきました。晩秋、初冬にかけての今頃は、一日一日の気温の変化や風の強さ、木々の色彩、香りの変化に敏感になっているように感じます。山々の木々は色づき始め、金木犀の香りはもうほとんどしないくらいになりました。

今の時期は、洋服に対する感覚も鋭敏になるものです。いつもより繊細に、生地の厚みや手触り、色味や光沢、着た時の肌に触れる感触や締め付け具合、重さ。寒さが増すにつれて、日に日に感覚が鋭くなっていくように思います。

冬のドレスウェアの定番生地であるツイードに、品のある男らしさを感じるワークパンツ。自信たっぷりに黒のレザーグローブ。間違いなく男らしくて、間違いなくかっこいい。

そんな今の高感度の視覚、触覚を刺激してくれるコートが、このDries Van NotenのRusty。ウールアルパカのモチモチとした肉厚のツイード生地。白と黒のコントラストがツイードの凹凸をより立体的に見せています。キルティング仕様の裏地の中には、中綿が含まれており、ふっくらとした面構えながら、クラシックなコートらしい腕周りのスリムな細身のシルエット。寒い季節、着込むときはパンパンに詰め込んでしまうのって、僕だけですか?着ている枚数よりも、いかに体と洋服に隙間が埋まっているのかを求めてしまいます。しわが入らないくらいに着込んだ姿って、きれいに隙間なく本が並べられた本棚みたいに、どこか整然として、かっこよく見えるんです。ドレープたっぷりのコート姿も、もちろん大好きなんですけどね。

オールグレーで、知性を感じるロイヤルブルーのグローブ。クールで、真っすぐかっこいいコートは、これくらい遊んだって間違いなくかっこいい。オールブラック。ふっくらとした丸みを感じるジャケット、花瓶のような丸みのあるパンツ。直線と曲線のバランスが面白い。

このコートは、今も僕たちの感覚を刺激してくれるDries Van Notenのアーカイブアイテム。コレクションでは、”自然の超現実的な怪奇に美を見出す”をテーマに、レイヴカルチャーに思いを馳せたシーズン。レイヴカルチャーの最中、自然のなかで、夜が明けるまで踊り続ける若者たちは、心の底から自由でエネルギッシュだったと想像している。そんなエネルギーとDries Van Notenのテーラリングの力強いシルエットは寒空の下ではなくても、伝わるくらい刺激的。この一着は、冬の僕たちには十分すぎるくらいの強い刺激と溢れんばかりのエネルギーを与えてくれる。クラシックかつ端正で、エネルギッシュなコートは、僕たちの冬を熱くしてくれる。

是非店頭で、その熱を感じてみてください。

Dries Van Noten / Rusty Coat - Black

Collection of Diary 226

ヨシダユウキ

Recent Post