Diary 219 - 相川さんのパンツ

Diary 219 - 相川さんのパンツ服を選ぶとき、〇〇さんの、という枕詞をつけて選ぶことが多い。たぶんそれはバイヤーという肩書きで仕事をする上で、ブランド、というよりも誰かがデザインしたもの、作ったもの、という意識が強いからだと思う。パーソナルな関係値の有無は別として、〇〇さんはどうしてこれを作ったんだろう、とただ妄想に耽るのだ。あくまでも主観的すぎないように、関係値が無くとも作った人のパーソナリティの断片を掻き集める努力はするけれど。

だから、洋服を紹介するとき、〇〇さんのとこの〜みたいに、ブランド名より個人名が先立つことが多い。それが何であるかと同じくらい、誰が作ったかということを重んじている。つまり、ラグジュアリー的な意味でのブランドの付加価値ということよりもむしろ、目の前の洋服のどこにそれを作った人の魂がこもっているかに価値を感じている、ということだ。いや簡単な話、三つ星レストランの料理と同じくらい、オカンの飯は尊い、みたいな。リアのフリースに相川さんのパンツ。足の出口が3本あるわりに、柄と色の組み合わせのわりに、スッと履ける。Omar Afridiのレザーボンバーに相川さんのパンツ。変な帽子被ってても、スッと履ける。

というわけでお店に届いた相川さんのパンツ。僕が思う相川さんのパンツというツラをしている。足を通すところが3本、そのおかげで、Pで有名な伊・リモンタ社のデッドストック生地という情報が全く意味をなしていないところがミソ。例えばGabriela Coll Garmentsはロロピアーナ社やもちろんリモンタ社など、紳士服の良質な生地を用いて彼女らしいミニマルで軽やかな着地をすることに彼女の哲学を感じるけれど、この相川さんのパンツはリモンタナイロンである理由が馬鹿馬鹿しいほどにない。下手ししたら(知っていたとしても)リモンタ?知らないね、なんて言い出しそうな人だ。ただその生地が可愛かったから、それに尽きるんだと思う。スッと履かない日もある。うーん、ワクワクしてしまう。ミリタリーものはほとんど着ないんですが、迷彩柄は好き。ドット柄も好きだけど、あまり着たい服がない。でも相川さんの服の迷彩は迷彩に見えないから可愛いし、ドットはドットに見えないから着れる。日常をファンタジーに変える魔術師。

相川さんの服はつまんねー常識とか悩みを吹き飛ばしてくれるパワーがある。スカートを真顔で履くみたいに、ただ真っ直ぐにいつもの服に履いてもらえればいいなと思いました。(そういえばガブリエラのカーキのスカートもリモンタナイロンでした。)

人と一緒で、寒い冬には色がないとつまんないすよね。

RANDY / "STREAM" - 11.8(Sat) In Store.

迷彩とオレンジの部分はツヤツヤのナイロン、ドットの部分は90年代のシルクっぽいタッチ、そこはさすがリモンタ、クラシカルささえ漂う。

collection of Diary 219


イタイ

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