Diary 199 - 寄り添ってくれる

Diary 199 - 寄り添ってくれる良いスラックスの条件とは、寄り添ってくれることだと思う。

どんな場所へ行くのか、どんな相手と会うのか、どんな心持なのか。履くシーンは色々あれど、良いスラックスは自分を高めてくれる。

スラックスには様々なスタイルがある。とりわけ、ドレスウェアの世界にはブリティッシュ、アメリカン、フレンチ、イタリアンなど、国によって独自のスタイルがある。気候、国民性、その国の成り立ちまでもが関係している。

例えば、僕が大好きなブリティッシュは、ドレスウェアの元祖として、格式高く凛としている。悪く言えば大分きばっていて、重厚で、古典的なものが多い。逆にラルフローレンに代表されるアメリカンは比較的自由。日々の活動をあまり制限しないものが多い。合理性を追求するアメリカらしさが伺える。ブリティッシュ?アメリカン?

ドレスウェアの世界では、ツイードやヘリンボーンといった耐久性に優れたウール生地を用いた服に、しばしばスポーティーという表現を使う。これは、狩猟やポロといった古典的な貴族スポーツに由来しているのだが、ラルフローレンはそんなスポーティなスタイルを得意とする。ブリティッシュの伝統に敬意を払いつつ、日々の快適性、合理性を叶える。そんな土臭くて自由なドレスウェアを生み出してきた。

普段ハンティングに出かけたり乗馬する機会は全くないが、活動をしたい、けどたまにはカチッとした雰囲気を楽しんだりもしたい。ちょっと汚いくらいの居酒屋で楽しく飲んだり、神戸の街を散策したり。そんなときに、アメリカンであり、ブリティッシュな感覚で、格式高すぎず、土臭すぎず、生活に寄り添ってくれる良いスラックスがあればいいなと思う。というかある。ジャパニーズ?

Dries Van NotenのPanvel。初めて見て触った時は、ワークパンツみたいだなとか、スポーティーだなと感じた。履いてみるとDries Van Notenらしい凛としたシルエット。ブリティッシュなパリッとした姿ながら、アメリカンな動きやすい生地感。英国紳士的で、モダンジャズミュージシャンみたいでもある。演奏でもダンスでも自由自在だけど、全然気は抜いてないって感じ。かっこよく背筋を伸ばしながら、少し食べすぎたり、遊びすぎたりしたい。このパンツはそんな日常のどの場面にでも、ピリッとしたドレッシーを携えて、寄り添ってくれる。クラシカルな伝統に敬意を払うDries Van Notenが、現代の僕たちに寄り添って作った良いスラックス。

 

 

 


Dries Van Noten / PANVEL SHORT - (Charcoal, D.Brown)

少し短めに設定されたレングス。生地は、ミディアムグレー、モチっとハリのあるコットンポリツイル生地 (裏面は起毛加工になっている)と、ダークブラウン、ツイードといえばのLovat Mills製、ホースライディングなウール生地の2種類。ヒップ周りはしっかりとホールドされ、太すぎず細すぎずの良い塩梅。

https://mukta.jp/collections/dries-van-noten

ヨシダユウキ

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