Diary 209 - 昼も夜も、バチバチにかっこいいです
Diary 209 - 昼も夜も、バチバチにかっこいいです友人の結婚式に行ってきた。ジャケットを新調しようかなと思っていたけど、あくまでも冠婚葬祭だし、と、手持ちのフォーマルなもので参加した。行ってみるとびっくり、意外とカジュアルなんだなと思った。自分も着たいものを着れば良かったと少し後悔した。
以前もご紹介したWales Bonnerのタキシードジャケット。今週末の新作コレクションのリリースに合わせて、今お店に並んでいる素敵なジャケットをご紹介します。
スーツに興味がなくても名前だけは知っているであろうテーラーの聖地、サヴィル・ロー。そのサヴィル・ローを代表するテーラーでの一つであり、故アレキサンダー・マックイーンが経験を積み、ラルフ・ローレンやトム・フォードといった名デザイナーたちが顧客リストに名を連ねる、アンダーソン&シェパード監修のタキシード。(僕も作ったことはないが、アンダーソン&シェパードのオーダーメイドスーツでだいたい80万円~。)ウールバラシア生地。ピークドラペルに、威厳の漂う4つボタンのダブルブレステッド。そして、釜底が食い込むアームホールに、シェイプの効いたストイックなシルエット。出るところが出て、締まるところが締まった、なんとも見惚れるプロポーション。袖ボタンのアキミセ仕様。ボタンホールが開いていないので、開け閉めはできないが袖丈の修理が可能。老舗テーラーさながら、袖丈を調整し、何世代にも渡って引き継いでいくことを前提に製作されている。
このジャケットの唯一のデザインと言ってもいいのが、アシンメトリーに配されたラペルのサテントリム。朝はモーニングジャケットにモーニングカットのパンツ、夜はイブニングジャケット、みたいに、過去の式典において、貴族は時間帯によって着る洋服を変えなきゃならなかったらしい。本来かなりフォーマル寄りである拝絹付きのディナージャケット、スモーキング、タキシードでありながら、落ち着いた知性を感じさせるブラウンのサテン地で飾られた非対称のラペルは、礼服に感じられる格式や厳格さを軽々とリズミカルに超えていく。アフロ・カリビアンのリズムで。
フーディーにガバッとタキシードを羽織る。端正なハーフスラックスに、タキシードを羽織る。着こなしのルールは守ったっていいし、守らなくたっていい。ウェールズボナーのジャケットは、伝統へのリスペクトと確かなモダンさがある。だから好きに着ても大丈夫な器がある。
普段友人と会う日にも、張り切って行きたい日がある。そんな時僕は、とびっきりお気に入りのジャケットを羽織るようにしている。
Wales Bonner/ Rise Tuxedo Jacket - Black
僕は週の何日かは、ジャケットを羽織っている。だけど、別に朝だからとか昼だからとか夜だからとか、このジャケットにはこのカットで、ウエストコートがあった方がいいか、なんて、普段のファッションで気にしたことはないし、気にする必要がない。むしろ、夜に着られてきた歴史があるディナージャケットを昼に着ちゃう感覚が、パーカーにタキシードを適当に羽織る感覚が、逆張りがちな僕には良い。
Rise、日の出と名付けられたこのジャケットは、やっぱり今も昼も夜も、バチバチにかっこいいです。
ヨシダユウキ
今週末、18日より待望の新作コレクションをローンチします。是非お立ち寄りください。