Diary 208 - 昨日までは / 今日からは
Diary 208 - 昨日までは / 今日からはClassの3G Plain Stitch Knit。見ただけで分かるほどゆったりとした3ゲージ、ローゲージニット。コットン、アクリル、ウール混紡の、なんというかイギリスの田舎のおじさんが着てダルダルになったような空気感、なんだけどきっと想像しているよりはるかにドライな手触り。それに加えて、なんじゃこりゃなハンガ―跡がついたような肩のとんがり。袖と裾の切り替えは、ニットを編む過程で出る副産物、通常はカットして製品にするところをそのまま使っている。ハンガー跡がついたというネガティブをかっこいい、面白いというポジティブなデザインとして置き換えている。
という理屈は頭ではわかるんだけれど、果たしてお洒落なのかそうでないのか見当もつかない。ただ、お気に入りのニットにハンガーの跡がついたとき、まあ、仕方がないかと、その跡を眺めながらうなだれたり、なんとか元に戻せないものかとググってみたり、諦めてそっとクローゼットに戻してみたり、という残念な選択肢があるだけで、そのハンガー跡をポジティブな可愛さと捉えて家を出ることはなかった。だけど、このニットを見たとき、そんな残念な記憶が晴れ晴れとした爽快感に包まれた。
昨日までは残念の象徴だったハンガー跡が、今日からは可愛い突起物に見える。今日からはお気に入りの服にシミがついたって、グラフィックとして捉えられる、かもしれない。このClassのニットはネガティブに思える要素を、ポジティブに変えてくれる。毎日を少しハッピーに過ごせるきっかけを与えてくれる。いわばコペルニクス的転回。昨日まではわからなったことが、ネガティブに思っていたことが、今日からは180°違った景色が見える。そんな気付きを提供できるような服屋でありたい。
Class / 3G Plain Stitch Knit - Black
ヨシダユウキ