Diary 207 - Can You Do It Yourself?

Diary 207 - Can You Do It Yourself?僕はデニムが好きだ。特に風合いのある、味のあるデニムが。自分でお修理をしたり、お直し屋さんに足繁く通ったりして、DIYで風合いのあるデニムを作ろうと挑戦したことがあるのだが、全然上手くは行かない。結局、だんだんと修理が億劫になってきてしまう。楽したい性分なもので、かっこいい色落ちとかダメージは、加工で楽しみたいとも思ってしまう。もちろん、修理するたびに愛着は湧いてくるけれど、それはもはやファッションとして楽しめ無くなってしまうこともあるなと、振り返って思う。
ensou.のScar Tissue Painter Jeans。長年履き込んで、DIYで丁寧な修理を重ねたヴィンテージのペインターデニム。ストンと落ちるストレートシルエット。この綺麗な形には滅多にお目にかかれない。ここまでは某ローレンや某ビムがやっているかもしれない。そこからさらにダメージ加工、いやむしろところどころ乱暴に引き裂いたみたいな面構え。熟練のパターンワークから生まれる綺麗なシルエットのパンツを作って、それをヴィンテージのように丁寧に愛を持ってお直しを施したり色落ちさせたりして、挙げ句の果てにまた壊す。狂ってるやんと思った。お店のみんなとensou.のジーンズの話しているときに、Martin Margiela(以下MM)の話が出た。僕にとってMMは、DIY的な手仕事によって洋服の可能性を広げ、洋服の概念を新しく作り変えているブランド。僕はensou.の洋服から、そんなMM的なDIY精神をビシビシ感じされられる。ブランドをブランドで例えるのも少し気が引けるが、思ったことは仕方ないし、全くネガティブな意味ではない。精神性の部分で感じるのだ。そんな空気感と、熟達したパターンワークに裏打ちされた美しいシルエットから、唯一無二なEnsou.らしさが感じられる。

ensou.のこのジーンズは、計算の上、これになりましたよという器用な綺麗さではなく、自分で考え、手を動かして、試行錯誤した結果生まれたような重み、プロのDIYでありながら、きちんとデザイナーズの面構えをしている。このキチンとデザイナーズの面構え、というのがほんとに難しい、と僕は思うし、それがゆえに僕はデザイナーズの服を愛してやまない。Ensou. / Scar Tissue Painter Jeans - Indigo Blue

collection of Diary 207

自分で作ることはできないかもしれないが、手で触って、足を通してみてほしい。Do It Yourself。

ヨシダユウキ

Recent Post