Diary 029 - こんにちは、こんばんは。
挨拶 - 日常の人間関係を円滑に取り運ぶための、一定の形式をもった、なかば儀礼的な相互行為。一方、人間関係を疎遠にするために交わすこともある。挨拶の「挨」は押す、「拶」は押し返すの意で、本来は禅僧の「知識考案」における「受け答え」をさす語で、それが一般にも通用するに至ったもの。
誰か知った顔の人がお店に来てくれると、ついつい部活時代の癖が抜けずに誰彼と「おつかれさまです」と言ってしまう。本来は労働に対するねぎらいをかけるときに使われるべき言葉だから、お客さまに使うのはなんか変な感じがする。反対にそうやって声をかけられるのもなんだか違和感がある。
飲食店や洋服屋など、普段行くお店の素敵な店員さんはさらっと挨拶してる。そこには多くのチェーン店で聞くであろう、オートマチックな、機械的なコンニチハ、コンバンハ、ではなく、同じ言葉でも血が通った挨拶をしてる。日中は「こんにちは」、夕方以降は「こんばんは」。時間できちんと使い分けるのも粋があって素晴らしい。
そんな人になりたいなと、ふと思った。日常のいろんな物事や事柄を、できるだけ細分化して捉えてみる。当たり前のことのように思っていたことが、卵の殻みたいにパラパラと崩れていく。例えばマフラーひとつにしても、素材/色/形/長さ/大きさ/etc...が違えば何もかも違う。その中でもこのpenultimateのマフラーとDries Van Notenのマフラーはわかりやすい例かもしれない。前者はウネウネした形の面白さ、後者はカシミアのショートマフラーという使いやすさ。共通しているのは色味の遊び。コートやジャケットなんかのフォーマルな格好にはウネウネしたマフラーを巻きたいし、スウェットみたいなゆるいカッコにはカシミア巻きたい。こんにちは、とこんばんは。を使い分けるように、マフラーひとつとっても少しこだわってみる。寒さを防ぐためのものを寒さを防ぐためだけに使わない。儀礼的な行為を儀礼的な行為としての意味のみで終わらせない。そんな粋な大人でありたいものだ。
DRIES VAN NOTEN / "NEREUS" (GRY, PINK)
https://mukta.jp/collections/dries-van-noten/products/03260-nereus-5703-grey
penultimate / WAVE SCARF (BLUE, YELLOW)
https://mukta.jp/collections/penultimate/products/ka-07-aw22-yellow
イタイタイコウ