誰も知らない

デザイナーが洋服を作り、発表する際にエゴと自己表現のバランスを考えるとしたら、僕たち洋服屋の場合はブランドのセレクト、そしてアイテムチョイスの時でしょうか。

と、ここまで書いて、今日は重たい話はやめましょうか。という気持ちになりました。インタビューを見ていただければ今は十分なくらい、今必要なことが詰まっていると思います。

皆様の思考の一助に、そして願わくば何回も咀嚼して思考そのものに組み込んでいただければ幸いです。

洋服の話をしましょうか。
SSも後半戦に差し掛かっておりますが、助っ人?がようやくデリバリーされました。

当店が別注で製作していただいた、ブランドではシグネチャーとなりつつある藍染刺し子生地を用いたトラッカージャケット。

刺し子っていうとファッションとして見るとどうしても少し土臭すぎるというか、刺し子だったら何でもいいのかというとそうでは無いと思うんですよ。

こんなこと言ったら怒られるかもしれませんが、僕はファッションにおいては伝統工芸、とかその土地らしさ、とかそれそのものにはあんまり惹かれなくて。

もちろんそこに対する理解やリスペクトが無いと洋服を売る資格は無いと思いますし、僕はむしろ伝統工芸や土着物そのものにはめちゃくちゃ興味があるのですが。

僕はことファッションにおいては、むしろそれがこの一つの洋服にどう作用しているか、そしてそれがどれだけ新しくて面白味を持たせているか、そこが一番気になります。

そしてそれを実現しているのがこのブランドということなのでしょうね。

それと、基本的に洋服は長く大切に着て欲しいモノですが、今の時代、中々洋服を大事に、長く着よう、という感覚を得ることって意外に難しいことなんだと思います。

例えば経年変化の楽しみ、自分で修理したり、改造したりする楽しみ。

デニムやレザーはよく経年変化の楽しみが挙げられるモノですが、如何せん時間がかかるもので、それがもちろん「愛」、に繋がっていくことは重々承知しているのですが、僕とかはやはりせっかちなもので、もう少しだけ早くして欲しい気持ちもあり、それを実現してくれるのもこの刺し子というアイテムなのです。

先シーズンまでは刺し子アイテムはウオッシュ加工が為された状態でデリバリーされていまして、でもなぜか今シーズンはいわゆる「リジット」、の状態で届いたのでして、それはそれで新鮮で良いなと思っていたところ、気づけば中のインナーが「藍」まみれ。

こんなにすぐ味が出るものなのね。2枚目の写真は一度洗濯しただけです。
色が冴えます。

もちろんお買い物をして、着て出かけることは洋服の楽しみ方の中心ではありますが、こうやって一つの服に長く向き合うことも良いものですね。
もしかすると、何十年後まで。

KOZABURO - "SASHIKO" OVERSIZED JEAN JACKET for Mukta / Sal ALL SOLD

こんだけ喋っといて売り切れかい。
はい。1日で売り切れました。すみません。
でも玄人のあなたにはお勧めしたいものはまだありますので。。


→KOZABURO SS20 Collection at Our Online Store

とはいえ、ほとんど誰も知らない別注っていいモノですね。

P.S.
アポイントメント制は一旦お休みしているので、お気軽にお越しください。
タイミングによってはお待ちいただく場合もございますが。

イタイタイコウ

 

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