Diary 166 - MONMON HOUSE

Diary 166 - MONMON HOUSE

突如お店に現れた、ピンボケたグレー・ジーンズ。ブラック・デニムを履き込んで経年変化した深い色味、というより、ハナから色を削がれたような間抜けなグレー。

この間抜けなグレー・ジーンズを作っているのがモンロー、愛称、モンちゃん。Omar Afridiのディレクター、菊田のパートナーでもある彼女は、中国出身、ロンドンに7~8年近く住んでいたのかな、いつもお洒落でメゾンの服やOmar Afridiの服をなんてことないようにさらっと着こなす、育ちの良いクール・ガールって感じだったんですが、いつの間にか自分で服作りを始めてました。薄手のオンス、グレーのドリル生地、少しローライズ気味のバギー・ジーンズ。サイズはS-2XLまで。S-LはウィメンズのS-L、L-2XLはメンズのS-Lって感覚で大丈夫だと思います。写真1,2枚目がXL、写真3,4枚目が2XL。自分はとことんルーズに履きたいので2XL。プライスは¥28,000+tax。部屋で過ごすのにも、ちょっとそこまでお出かけするのにもいい、みたいなこの感覚ってThe rowだったりMiumiuだったり、メゾンのなんでもない服を買う感覚に近しい気がする。

なんというか、正直言って殆どなんにも彼女のことは知らないし、このグレー・ジーンズがどんな思いを持って作った服なのかも知らない。そういえばロンドンに行ったとき引っ越し軽く手伝ったな。まあでも、そのくらい。けど、モンちゃんのことはなんとなく知ってるし、なんとなくこのジーンズも気になるなあと思ったから、なんとなくお店に並べるために中国から送ってもらった。

なんで気になるかっていうと、同じ時代を生きている同世代の人間として、かっこいいな、って思う人がどんな感覚を持っているか、その表現の仕方はどんなふうなのか、が気になるからだと思う。それを経て、そこと異なる自分の感覚を認識する。違う世代の人間からもらう刺激とは、また別の、観察に近い興味。

"DayDream"(=白昼夢)というタイトルとともにアップされていた、真っ白な部屋にデイ・ベッドが置かれただけのルック。なんでもいいんだけど、なんでもよくない、みたいな感覚を、この間抜けなグレー・ジーンズは満たしてくれる。

なんとなく気になったらとりあえずその感覚を信じて触れてみる。このなんとなくの感覚を毎日積み重ねて、触れてみて、言葉にしてみて、なんか違うってなって、また別の言葉にしてみて、ふと気心の知れた人たちと食事に行ったときなんかにスッと口から言葉が滑り落ちている。で、翌日振り返ってみて、あ、そういえばこんなふうに思ってたんだって気付く。

なんとなくに触れるには、多かれ少なかれ時間もコストもかかるけれど、触れないままなんとなく見過ごすには、あまりに尊い人間のセンスだと思う。

 

MONMON HOUSE / Grey Denim

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イタイなんとなくオーダーしたCLASSのリフレクター・スウェットと、モンちゃんのデニム。なんとなく忘れられない服ってありますよね。

 

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