Diary 271 - 大人のローライズ。
Diary 271 - 大人のローライズ。
ローライズジーンズ。
この言葉を聞くと、僕はどちらかというと女性的なファッションを思い浮かべる。腰骨を覗かせるような浅い股上に、身体のラインを意識したシルエットはプロポーションの魅力を伝えるための一本。2000年代のファッションを象徴するアイテムのひとつであり、どこか懐かしさを感じる存在でもある。かく言う自分はあまり通ってこなかったパンツでもある。
かたやうちの内海に聞いてみたら、どちらかといえば男性的と言う。ほほう。彼とは一回り以上歳も違うし、いわゆるストリート的な”腰履き”のイメージもあるだろうし、Dior、エディの存在もあると思う。
なんだかこのやり取りに全てが詰まっている気がした。


iSHII × Nip in the Air / “Unagi” row-rise jeans
東京のNip in the Airと、いつもお世話になっているiSHIIによって生まれた一本。
実はこのダブルネームについては、前回のiSHIIポップアップの時に、デザイナーの石井くんからちらっと話を聞いていて気になっていて。そして今回、いよいよリリースされたものがやっぱりカッコよくて、「うちでも扱わせてほしい」と連絡させてもらった。二人の持つ独自のバランス感覚に惹かれる人は少なくないと思うし、もちろん僕達もそうだ。


iSHIIといえば、身体にぴったりと張り付くような細身のジーンズを、ぐっと腰を落として穿くスタイルが印象的。ビタビタのスキニーに近いシルエットを、あえて腰履きする。そんな独特のバランス感覚は、石井くんらしいスタイルのひとつだと思う。ところが、今回のUnagiは少し違う。
13ozのがっしりとした、真っ黒でタフなデニム。その無骨な生地を、極端なローライズとストレートシルエットに落とし込んでいる。ローライズという僕目線では女性的な印象を持つディテールに、男性的で骨太なデニムの質感。細身のジーンズを腰履きするのではなく、初めから腰の低い位置を想定したストレートシルエット。タフでありながら、どこか艶っぽい。無骨なのに、妙な色気がある。相反する要素が、一本のジーンズの中で自然と共存しているように感じる。
そして、岡山のデニムを用いているところにも、Nipらしさを感じる。海外のファッションカルチャーにも目を向けながら、日本のものづくりや、その背景にある価値観を大切にする。それでいて、名前は「Unagi」。そう、鰻です。くぅ〜、にくい。日本的な背景を重んじながら、それを決して堅苦しく見せない。そんな二人の感性が交わって生まれたジーンズ。





さて、僕がこのジーンズを紹介したいのは、ユース的な目線ではなく、どちらかと言えば大人の方かな。若い頃のように、流行に身を任せて穿くのではなく、自分なりの洋服の着方を知った大人が、あえてローライズを選んでみる。例えば、仕立ての良いジャケットや、品のあるシャツもいいし、まっすぐ男らしくレザーものを合わせても新しく感じるなぁ。きちんとした洋服を、少し不真面目に着る。そのくらいの余裕が、今の僕にはとても格好よく映ります。





メンズウェアの普遍的な要素を、僕たちなりの解釈で捉え直す、僕たちのNew Standard。今回のUnagiも、その延長線上にある一本だと感じている。デニムという、メンズウェアにおいて最も馴染み深い洋服のひとつ。その生地の力強さや、ストレートという普遍的なシルエットはそのままに、腰の位置を変えることで、まるで違った表情を生み出している。新しいものを作るというより、当たり前だと思っていたバランスを少しずらしてみる。それだけで、洋服はまだまだ面白くなる。
Nip in the AirとiSHII。
それぞれの美意識を持つ二人が生み出した一本を、今度は僕たちなりの解釈で紹介できることを嬉しく思います。
若さに任せて穿くローライズもいいけれど、歳を重ねてから穿くローライズには、また違った色気があるはず。
大人の皆さま、いかがでしょう。
吉國
iSHII × Nip in the Air “Unagi” row-rise jeans
Size: 1,2 / ¥39,000+tax
2026.11.7 (Sat) Available in Store & Online.
