Diary 258 - 消された右側、加わる感情

Diary 258 - 消された右側、加わる感情子どもが最近、よく絵を描きたがる。色鉛筆が入ったコップを指さし、「ジージー」と声をかけてくるのが始まりの合図だ。

真っ白な紙を一枚テーブルに出してセットすると、まだ2歳にもなっていない娘は、グーの手で鉛筆を握り、おもむろに描き始める。形もはっきりしない何かを描いては、すごく嬉しそうにしている。その姿を、自分は少し羨ましく見ている。

思い返すと、自分は小学生のころ、模写が好きだった。
好きな漫画やアニメのキャラクターを自由帳に描きまくった。それを友達が見て喜んでくれたのが大きかったのだと思う。褒められたり、描いたものを欲しがってくれたり。

描くことの喜びを知った少年ロビンは、そのまま突き進んでいたら、もしかしたらアーティストや漫画家を目指す世界線もあったのかもしれない。

けれど、模写はあくまで模写だ。
真似をして、いかに上手に描けたか、再現性が高いか。そんな基準に縛られた、自分の硬い頭はそこで形づくられてしまったように感じる。

だからこそ、想像で自由に描ける人。
それは絵描きに留まらず、広げれば歌い手や役者、デザイナーも同じだが、「表現ができる」人に対して尊敬や羨ましさを覚えるのは、そんな幼少期の原体験が大きかったのだと、あらためて思い返していた。
エンソウからデニムジャケットとジーンズが届いた。

型は、ブランドとしてもすでに定番と言っていいもの。とくに右側のディテールがそぎ落とされたジャケットに、同じく本来右側にもあったはずのポケットを省き、小さなタブに見立てた刺繍を施した、ゆとりのあるワイドジーンズ。どちらもボディはウォッシュされ、ほどよいくたりも感じる、通年で着られそうなブラックデニム。そこに今回は、別注としてペイントを施してもらった特別仕様だ。

自分はこの手のペイントは、その行為自体はシンプルである一方、表現としてはとても難しく、奥深いものだと思う。
それは、いざ自分がやることを想像してみると、わかりやすいかもしれない。

理性よりも感情、コントロールよりも衝動。
迷い、ストレス、エネルギー、焦り、興奮。
破壊衝動と創作衝動。いろんなものが同時に押し寄せてくる感覚。

そうした生々しい感情の側面がある一方で、
完璧でなくてもいいという許容や、予想外を受け入れる姿勢、
いわば偶然性を一歩引いて楽しむような、大人の感覚もまた存在する。

そんなペイントを、デザイナーの西川さんが一つひとつアトリエで手作業で仕上げてくれた。軽く見られがちなこのDIY的なアプローチも、そうはならないのも西川さんの経験あってこそだろう。そこにいろんな思いが交錯しながらもペイントに立ち向かってくれたのかな、なんて想像してみると、さらに魅力は増す一方だ。

縫うこととはまた異なる側面として、作り手の痕跡が感じられるエンソウのペイントデニム。ぜひお楽しみいただきたい。

ensou. / Exclusive Painted Jean Jacket and Jeans - Black

ROBIN

p.s. 2026.4.8にMuktaは15周年を迎えます。日頃よりご愛顧いただいている皆様には感謝しかありません。当日はドリンクでも用意しようと思いますので、ど平日ではありますが、よかったらお立ち寄りください。少しだけお祝いムードで過ごそうと思います。

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