Diary 021 / サ活: 無味無臭 , 最後の晩餐

Diary 021 / サ活

無味無臭
日本がスペインに勝った。朝4時には起きれなかった。5時過ぎくらいに軽く目を覚まし、日本が勝ったことを確認し、果たしてこれは夢か現かと訝しる。寝る前に見たチェンソーマンとサッカーがごっちゃになった夢を見ながら、起きた頃にはインスタのストーリーズは白線で渋滞していた。前田の頭で誤作動したとは何のこっちゃ。

日本代表のユニフォームはアディダスだ。最近はスウォッシュのようにロゴマークに"adidas"の文字すら無くなり、世界と同じく無味無臭に洗練されていくのがトレンドなのか。無味無臭なら害がないからいいか。サッカーに影響されてadidas着てきました!って言っていたSくんはロゴありの古着だったな。そういうところ鈍臭くて良い。

ロゴはブランドや会社にとってかなり重要なものだ。いわばイエス像であり、モナリザであり、奈良の大仏であり、一記号が偶像に近い意味を持つ。数年前に名だたるメゾンブランドがWeb上での視認性が高いロゴフォントへとこぞって変更したのも有名な話だろうし、インスタグラムのストーリーズでフォントを変更できる仕様がデフォルトで搭載しているのも、フォントから受ける印象を重んじているからだろう。

無味無臭の世界もそんなに悪くは無いけれど、2022年ももうすぐ終わるし、今年感じたことや考えたことをもっとカオティックに表現してもいいんじゃないかって思えた。今まであんまりしてなかったブランドの合わせやアイテムの合わせをシーズン終わりにするとこれがまた中々に楽しくて発見もある。
Wales Bonnerは今シーズンから新しいロゴが登場した。2種類のロゴを洋服によって使い分けているところが面白い。テーラードやドレスなどのエレガントな洋服には従来のロゴを、また、ジャージーやフットボールシャツなどのラグジュアリー・スポーツウェアにはスクールライクな太字のロゴを採用している。(今シーズンよりアパレルにおけるadidasとの協業を辞め、いよいよ未来のメゾンへの舵を切った。SS23よりはシグネチャーのシューズも展開する。)

情報過多でノイズが多すぎる日常生活にうんざりしていながらも、後で見返せるからリアルタイムで味わう必要性も無いしな、という諦念混じりの便利さをしっかり享受していることは事実だけれど、せめて自らのうちに花開いた感情をキレイなままでフィジカル的にも保存しておきたい。フィジカルと感情をリンクさせておきたい。そうでないと、自分が瞬間瞬間に何を感じたか/考えていたかすら忘れてしまいそうになる。そんなのは嫌だ。

さて、せめてジャージでも着よう。

最後の晩餐
かの有名な最後の晩餐の絵画。なんで全員こっち(鑑賞者)側向いてんねん、みたいなツッコミをしたくなるヨーロッパ式のロング食卓の席に着いたことは残念ながら未だ無い。が、奇跡的に先日その機会を得た。さすがに全員が一方向を向いているということはなかったが、席に通されると細長いコンクリート系のテーブルに、横と向かいには見ず知らずのソロおばさんやうざめのカップル、老夫婦など、中々にカオスな食卓がそこには生まれていた。なんてピースな空間だろう!流れているのはアンビエント。食べに行ったのは朝食。出てきた料理も素晴らしかった。炭だろうか?グレーのピタパンに種々の具材をセルフで詰め込んでファラフェルスタイルで頂く。野菜の苦味、ピクルスの酸味、スープの甘味、ソースの塩味、雛豆や具材の旨味、五味が複雑に混ざり合いつつ、フィンガーフード的なカジュアルさもある。メインとして中央に鎮座するのはスモークチキン。五味に薫香がほのかに足される。スープは安納芋を自家製窯でなんやかんやしたやつ。その時点で情報量が既に多くて覚えられない。しかも朝方の頭の回転の遅さが、今の自分の状況の少しの可笑しさのハードルを下げる。目の前のうざめのカップルの話がやけに鮮明に入ってくる。

Wales Bonnerのジャージは多分その中ではピクルス的な存在だ。普通だけど、なんかいい。Wales Bonnerという五味を構成する一つの要素。きっとWales Bonnerのテーラードやニット、シャツなどをより引き立たせるピクルス的なアイテム。マイサイズは3でピタピタに。ボトムスは4かな。
個人的にはストレスのないフリースジャケットみたいだなと思う。亜寒帯と化している日本列島には必須のフリースジャケットだけれど、中々美味しいご飯を食べに行く時やインナー使いとしてのユースにはちょっと心許ない。このジャージのセットアップは起毛しすぎていない裏起毛で、思っているより暖かい。見た目はジャージ。だけどなんか品がある感じ。見た目は子供、心は大人、ではないが、なんかいい、を紐解くときっとそういう感じ。人生最後の晩餐はまだ早いかもしれないが、人生最初の良い朝食、を食べに行く格好としてはちょうどいいかもしれない。

イタイタイコウ

Wales Bonner AW22 Collection
https://mukta.jp/collections/wales-bonner

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