Moon Undah Water 〜19AW Buying Review "NICHOLAS DALEY"〜
Muktaにとって「繋がり」というのは一つのキーワードであることは間違いがない。
デザイナーとお店の繋がり、お客様とお店の繋がり、デザイナーとお客様の繋がり、お客様同士の繋がり。
それらのことはもちろんだが、今回は特に洋服と音楽の繋がりについて。
それはズタボロで真っ黒に成った雑巾のように使い古された言葉かもしれないが、彼の作るコレクションに限ってはその言葉がしっくりくる、いや、その言葉を証明してくれていると表現するほうが正しいかもしれない。
Puma Blue Live Set at Nicholas Daley AW19 "Black Ark"
ジャマイカとスコットランドをルーツに持つ彼は、2013年にCSMを卒業後、2015年に自身の名を冠するブランドをスタートした。
手仕事を感じられるようなクラフトマンシップ、洋服と着用者の間の空間を計算し、着心地の良さを引き出すテーラリング、深いヴィンテージへの造詣、といった要素は大切だが、このブランドの本質はもっと大きな部分だと感じている。
音楽活動をしていた両親や、パートナーであり、90年代から現在に至るまでWarpと並んでロンドンを代表するレーベル、Ninja Tuneに所属するNabihah、そしてショーのみならず普段から親交のあるCosmo PykeやMansur Brownといったロンドンの気鋭若手アーティストたちとの交流。
生まれた時から現在に至るまで音楽と密接に関わってきたこのデザイナーにとって、洋服作りに音楽の要素が入るのは自然なことだった。
洋服から、プレゼンテーションやランウェイから、デザインチームから、彼の多様で多彩なコミュニティから。
彼が関わるその全てが一体となって生み出す空気感、それがNicholas Daleyというブランドの魅力なのだと思う。
そしてその魅力は垣根を越えてまた新たなコミュニティを生み出す。
しかもそれはハイプなものを生み出すために築かれたビジネスめいたものとは違う、密接で自然体なコミュニティを。
ある意味、デザイナーのNicholas本人はそのコミュニティのリーダーと言ってもいいかもしれない。
ただそれは統率的な意味ではなく、積極的にコミュニティとしての動きを推し進めようと前に進んでいくリーダー。
そしてDJ的なミックス感覚で、様々な世代やカルチャーで生活する人々を、ローカルに溶け合わせる。
AW18 "Red Clay"SS19, "SLYGO"
もちろん、その感覚は洋服にも表れている。
Lee "Scratch" Perryのスタジオ、"Black Ark"をタイトルにしたAW19コレクションでは、60年代から様々なジャンルを自在に行き来し、伝統を再解釈してきた伝説のプロデューサーにリスペクトを捧げ、自らの洋服作りの精神と重ね合わせた。
今シーズンも地元のファクトリーを重んじる姿勢は変わらない。
ベンタイルコットンを用いたフライトジャケットやベスト、スタジオのカラーパレットを意識して織りあげた臙脂やブルーのチェックパターンのウール生地はコートやハットに、そして老舗のゴム引きメーカー、ハンコックによるジャケットや、トリッカーズとのコラボレーションがラインナップする。
そして日付変わって本日29日にNicholasとパートナーのNabihaがMuktaに来店、ストアイベントを開催。
このイベントのために、限定アイテムをリリースしました。
AW19シーズンのプレゼンテーションで用いられたインビテーションをプリント。
現地でしか味わえない空気感を少しでも纏えれば。
バンドTeeのノリです。
乞うご期待下さいませ。
【NICHOLAS DALEY AW19 “BLACK ARK” SPECAL EVENT】
078-291-5045
イタイタイコウ