生きる -SS20 Buying Review "Nicholas Daley vol.2"-

先日の匿名の裏返しの解釈の話とは裏腹に、世間ではますます明暗くっきりと分かれる状況になっておりますね。世界中が同じものに立ち向かっているはずが。

何は兎も在れ、自宅で過ごす時間が長くなった方もそうでない方も、自宅での時間の使い方、に眼を向ける様になったのではないでしょうか。

斯く云う僕もそのブームに乗っ架かる一人でして、何故か普段より早起きしてみては読書してみたり、新しい音楽を聞いてみたりと、それは特段普段と大差ないのですが、少しでも家にいる時間を充実させよう、そういった気持ちになるのです。

僕の生活スタイルはこれといって変わっておらず、強いて云うので在れば呑みに出かけること、クラブに行くこと、が選択肢から消えたことでしょうか。

とはいえそれも毎日の事では無かったので、多少のフラストレーションはあれど、お店もこうしてアポイントメント制に切り替えながらも営業しているわけですから、単純に世の中の流れにモチベーション(部屋ベーション)を上げられていると云うお恥ずかしい話でもあるのですが、それはまあミーハー心も多少はありますもの。

ただそれも1ヶ月以上にもわたる臨時休業を余儀なくされている方々もいらっしゃるわけで、そんな呑気なことを申し上げている場合ではないのですが、こんな事態の中でも憧れていたはずの孤独と自由に首を締められている方々に少しでも新しい話題をご提供できればと云う次第です。


最近異常に惹かれるストライプという柄。
チェック柄なんかもそうですが、ピッチの間隔や配色でガラッと見え方が変わる、幾何学的な柄のはずが暖かく見えたり冷たく見えたり。

取り分けストライプという柄はチェック柄より選択肢が少なく、潔い。
その分縦にしたり横にしたり、ランダムにしたり、カラフルにしたりと変化を加えたとき、幾何学的な柄の魅力を不断に発揮して居るのではないでしょうか。

ロンドンストライプ、という柄がございますように、個人的なイメージとしてはロンドン、イギリスとストライプという柄は非常に密接であるように感じます。
デヴィッド・ボウイのあまりにも有名なKansai Yamamotoのジャンプスーツもストライプ柄ですし、それでなくとも彼はストライプのアイテムを好んで着ていたように思います。

デヴィッド・ボウイというグラムロックの先駆者であり、サイケデリック、ニューウェイブ、電子音楽という要素も孕んだ作品を発表してきたアーティストのおかげで、僕にとってはストライプという柄もそのように多様な要素を含み、無限に解釈ができる余白もあるという、喩えようのない魅力を放って居るように思えるのです。


そういえば昔から、あれをストライプと呼んで良いのかは疑問を生むかもしれませんが、テレビの放送が終わった後に流れるカラーバーは何故かじっと見てしまうこともあれば、これもストライプと呼ぶには少し胸に突っかかりを覚えますが、小さい頃よく見ていた笑点や落語の幕もそうでしたね。

ただ、ことファッションにおいては今までそういう経験が無かった所か、ストライプのジャケットやシャツならともかく、ボトムスなんてむしろ履きたくない代物でしたが、様々なカルチャーや洋服との出会いによる感覚の変化もあれど、それをこう易々と越えてくるボトムスに出会えるなんて、まあさすがはニコラスか。

ショールックで一目惚れして、あとは気になるのはお値段だけ。。そう思っていたところこれもまた前回ブログに書いたベストと同じパターン。商品化されない。

よくよく聞いてみると、ヴィンテージのデッドストックブランケット生地を使用して居る為、数量が作れず商品化していないとのこと。
これはもしや小規模の僕らにはチャンスかも?と思い、これもダメもとでお願いしたところ、なんとかOK。しかもショーでも使用されていない配色で特注出来た。

アフリカンな民族要素を感じさせる配色、少しアブストラクトなストライプのピッチパターン、そして得も言われぬ絶妙で上質なファブリック。
それを風を孕む優雅なワイドシルエットで。夏も完璧。
ダメ押しはターコイズ、倒向の切り替え。股間の切り替えは僕にはパンクに感じてしまうのは考えすぎか。


Nicholas Daley - "STRIPE" Trouser

ただおとぼけニコラスの手違いで小さめのサイズの代わりに大きめが届き。。
僕でサイズ30で良いくらいなので、98パーセントの方にお勧めするであろう、残り一本となったサイズ30をお争いください。。




それにしても勉強するにつれて、生きるって果てしない。



イタイタイコウ

P.S.
コムデギャルソンもストライプやチェック柄をよく使いますが、時間のある方は、その中でも個人的に印象に強く残って居る1997AW2000SSコレクションを見てみてください。



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