Diary 023 AHDM

Diary 023 / AHDM
レコードのB面に針を落とす時のワクワク。A面がアンビエント調のトラックから構成されているのに対して、B面がゴリゴリのキラー・ダンス・トラックだったときのキラキラ感。往々にしてその逆もある。

人間にはA面B面どちらも存在し、時たま自分が2人(もしくはもっと沢山)いるかのような錯覚に陥る。別人格のように感じる。けれどもその両方が自己であり、A面とB面が揃って初めてそのアルバムは完成する。A面とB面は決して交わることはないが、ある意味3次元的に接している。

クラブやライブハウスで音楽を聴きながら踊っているとき、リスナーは個々人の世界に没入しながら、他方、集団的なグルーブを生み出す。時にはDJやバンドなど、
プレイヤーすら一体となる。その時、リスナーとプレイヤーを分けることはできない。

西田幾多郎は「絶対矛盾的自己同一」という考え方で、自己と他者を絶対的に相容れない存在としながら、いわば弁証法的にそれらを包括した姿勢で生きていくことを示した。
Dover Street Market Ginzaの10周年イベントに遊びに行った時、沢山のアイテムが並ぶ中で唯一、シンプルなアノニマスなロゴの服に惹かれた。特に凝ったことをしているわけではないけれど(特に凝ったことをしていない洋服がDSMGにあることが違和感だったのかもしれないが)、一際自分の目を引いた。

今でもはっきりと理由は分からないけれど、たぶん自分には常に知らないところに存在していたいという願望がほのかにあって、架空のブランドロゴの(ように見える)服を着ることで、自分自身を誰にも干渉されないセーフスペースに置きたかったのかもしれない。手垢が沢山ついた服ももちろん好きだけど、時たまドライで工業的で匿名的な洋服を着たくなるのも同じことだと思う。

人と対話することが好きでこの仕事をしていながら、一切誰にも干渉されたくないセーフスペースを常に求めているフシもある。それもA面とB面ということなのだろう。
少量ですが、入荷しました。Vintage加工を施したコットン系のボンバージャケットに、Tシャツが数枚。スウェットは2着だけあったんですがもう売り切れました。

AHDM - Arthur Hope Del Moonの1stコレクションが現在ご覧いただけます。

イタイタイコウ

Check Arthur Hope Del Moon 1st Collection
https://mukta.jp/collections/arthur-hope-del-moon 

Arthur Hope Del Moon 
-デザイナー、アーサー・ホープ・デル・ムーンが2022年より新たにスタートさせたファッションブランド。今までの活動を「A 面」とするならば、本ブランドは「B 面」であると同時に、 本来の「A 面」であるとも位置付けることができる、化粧する前の素顔に近いもの。かつてのジョン・レノンや忌野清志郎の別名活動となぞらえるかのように、アーサー・ホープ・デ ル・ムーンは正体や国籍を明かすことのない、デザイナー自身のパーソナルな活動。ファーストシーズンは、デザイナーが幼少期から好んで着用してきたMA-1ジャケット、スウェットシャツやTシャツなどといった、エターナルかつエバーグリーンな日常着がリリース。

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