A Not Formal Sox
どうも、イタイです。
Mukta / Salのオリジナルプロダクトを企画してみました。 第一弾は靴下。
お店によく来てくれているお客様には結構長い時間お待たせしてしまいました。
元々はAdventのユニフォーム別注、KLGのMishimaと同じタイミングでリリースしようとしたんだが。
今回の靴下製作に至った経緯から。
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元々オリジナルのソックスを作りたいと考えていたほど、靴下には以前からこだわりがあって(テニスをしていた影響かも)、丈感はもちろん、素材、リブ幅、ストレッチ性など、履き心地の面というよりかは、ファッション的な意味でかなり重要視していた。
また、自分の感覚の中で「バランスを取る」「中庸を重んじる」ということを日常生活で常に意識している。
ファッションにおいてもそれは同様で、どちらかというとクリーンな格好をすることが少ない自分は、メインの洋服以外のところで、つまり靴下や靴、眼鏡などで清潔さや上品さを意識することが多い。
そういうこだわりがある中で、たまたま出会った靴下に衝撃を受けた。履き心地の良さはもちろん、素材感、カラバリ、リブのピッチ、しかもコスパの良さ。まさに求めているものだった。ドレス感とカジュアル感。(テニスのソックスってそういうもんだったかも。)
そこからその靴下を製作している工場にコンタクトを取ったところ、奈良の創業 100年近くにもなる野富という老舗メーカーだということが分かった。
早速そこに出向き、80歳近くにも関わらず、現役で社長を務めておられる野村氏にお話を伺った。 その靴下作りへの熱量ははたしてとんでもないもので、創業から長い年月が経っても、「更なる高クオリティの靴下製作」を目指しておられた。
オリジナル靴下製作の話を持ちかけたところ、「1足からでもなんでもやります。」 と即答された。こっちが驚かされた。
工場を見学させていただいたところ、筒の部分は機械で製作し、つま先の部分は一足ずつ手作業で縫い上げている(=ハンドリンキング)ということを知った。その方が履き心地が良いらしい。
ほんとに大変なの~?と試しにやらせてもらったら一 足で目が死んだ。
一日何百足とそれをやるんだと。
その一連の流れを見た時に、大量生産的な(=工業的な)要素と、どこか不揃いな人間の手を感じるような要素が共存する点に魅力を感じた。
クラフトやアルチザンとは違う軽さがある。
工業的な衣料品といえば、制服=ユニフォームを思い浮かべる。
ある意味では自らのアイデンティティを担保するものであり、またある意味では画一的な集団の 一員 であるというアイデンティティの消失を導くものだと思う。
ユニフォームというものはそういった両義性を持った洋服であり、画一的がゆえに もっともアイデンティティが強く表出するものであると考えた。
個性を出したけれ ば自由に「着崩す」。集団に紛れたければ完璧に「着こなす」。
Mukta / Salでは、ファッションを通して、個々人がそれぞれの自らの特異性(=個性)に気づいてもらう手助けをすることを重んじているので、そういう、いわばユニフォーム的な靴下を作れないかと考えた。
ロングホーズのソックスを選んだのは、常に流動的で今の時代の流れを反映したセレクトを心がけているMukta / Salにおいて、トラディショナルな着こなしのマナーの、廃らない、変わらない良さ。
現代においてトラディショナルなスーツを着ることはナンセンスかもしれないが、ソックスに関してはアリな気がする。(履くと気持ちがシャンとする、動いた時に裾から肌が見えない。)
好きな長さで切ってもらってもいいし、ルーズソックスみたいに溜めてもいいと思う。 カラーはシーズナルで変えていけたらというイメージ。
今回は6色。優しい色味。 ライムグリーン、ペールイエロー、ラベンダー、ビビットなピンク、白、黒。細番手エジプト綿糸100%。
加えて、糸に伸縮性のあるポリウレタン糸を巻き付けるようにして、綿100%でありながら、伸縮性を持たせるという固有の技術。(表記は綿98%, ポリウレタン2%だが、実質綿100%にポリウレタン2%で102パー。)糸を強撚加工することによって、コットンでありながら化繊のようなミニマルでドライなタッチ。細めのリブ。
靴下は下着ではなく、ネクタイやベルト、腕時計なんかと同列に扱われるべきものだと、僕は思う。
いわゆるロングホーズのドレスやクラシック的イメージから外したかったので、マシナリーなイメージで、Sound Sportsのリョウタにヴィジュアルをお願いして作ってもらった。
「たかが服、されど服」ではないが、たかが靴下、されど靴下。
我ながら自信作、お試しあれ。
イタイタイコウ