Diary 190 - 0より小さい
Diary 190 - 0より小さい
僕は、洋服を買うときに自分からの距離をよく考える。距離0は絶対好きなもの。距離が大きくなるにつれて、自分の理解から離れていく。そんなときに感じるのはなんかわかんないけどいいかもしれない、ということ。"「よくわかんないものがあることがわかった」ということに僕は対価を払うタイプ"とイタイさんが書いていたが、本当にそんな感じだなと思う。分からないけどいい、ということがわかるというのは、情報が詰まっていないように見えて、たくさん詰まっている。自分の直感、潜在的な嗅覚みたいなものが引き出されている。本能的に好きだと感じる。
距離には正負があると考えている。距離0を分かることとすると、正の距離=情報が多くて遠い、負の距離=情報がなくて遠いこと。
Kiko Kostadinovは情報が多くて遠い、であろうと思う。情報が詰まっているということがわかる。だから、わかんなくても、もちろんわかっても楽しめる。情報がなくて遠いことを楽しむということはどういうことなのだろう。それを教えてくれるのはOmar Afridiではないかと思う。
市森 天颯氏、菊田 潤氏の2人が手掛けるブランド、Omar Afridi。「プリミティブ・モード」というコンセプトを掲げ、クリエイションを続けてきた。直訳すると原始的な流行。クラシカルな生地に、インダストリアルなパーツ使いや、インダストリアルな生地に、クラシカルな技術のような、一見相反する感覚同士の衝突、気持ちのいい違和感を作り出している。
Omar Afridi / Jane Sweater - Black
メリノウールが高密度で編まれたニット。メリノウールは一般的なウールに比べて、繊維が細く、肉厚に編まれていても、長年着込んだようなしなやかでソフトな手触り。ここまで高密度だと普通に洗えそうですねなんて話をちょうど昨日していたところ。
Omar AfridiのJane Sweater。メリノウールの気持ちのいいソフトな着心地とニットなのか分からないほどスムースな質感は、気持ちのいい違和感へと形を変えている。
と、ここまで漠然としたことを長々と書き連ねてまいりましたが、結局普通に可愛くて、かっこいいブラックのニット。幅広のリブは、丸みのあるシルエットを作り出し、フェミニンな雰囲気。ニットらしい質感の少ないソリッドな面構え。かっこいいですよね。ボキャブラリーが失われるくらいに、僕を直感的にしてくれる。
ミニマルさが生み出す心地の良い違和感。情報がなくて遠いことを感じるニットは、僕の直感、潜在的な嗅覚を引き出してくれる。
Dries Van Notenのアイスウォッシュのデニムに、かっこいいブラックニット、丸眼鏡、レザーのビーサン。見慣れた合わせに違和感を。
Dries Van Notenのツイード・ショーツ。ソリッドで滑らかな質感に、ツイードの起毛感のある立体的な質感とのメリハリは、パズルがはまるような心地よさが感じられる。
ヨシダユウキ