Diary 060 _J.L-A.L_
Diary 060 -_J.L-A.L_9月から秋冬のコレクションが立ち上がり、早や4ヶ月経ち、気がつけば年末。殆どの商品が店頭に揃っていく中、出遅れていたブランドようやく届いた。密かに楽しみにしていた、Mukta / Sal のニューカマー。
"_J.L-A.L_" デザイナーはジャン・リュック・アンブリッジ。ロンドンを拠点に活動をしている若手デザイナーだ。僕が彼の事を知ったのはごく最近の事。アウトドアウェアの老舗、"Goldwin"が昨年から新たに立ち上げたプロジェクト"Goldwin 0"がきっかけだった。元々、アウトドアギアが好きな僕は、"Goldwin0"にかなり関心があったのだが、当時は何も情報が出ておらず、コレクションの公開をただ待つのみだった。いざ公開されたビジュアルは、今までのイメージであるアウトドアのカジュアルさは刷新され、ロンドンのストリートウェアのようなクールな佇まい。
僕は彼のデザインに関心を持ち、少ない情報の中、彼のSNSアカウントを探し出した。調べてみると、彼は元々ファッションのデザインではなく、グラフィックデザインを専門としていた。服作りに関しては独学で習得し、更には3Dでパターンメイキングを行っているという。過去のポストを遡ってみると、彼が過去に製作したアーカイブを見ることが出来た。スポーティな外見とは裏腹に、複雑なパターンを用いて構築的に作られた、丁寧な物作り。彼のクリエイションの魅力は見てすぐに伝わった。どうにか購入ができないものかと探ってみたが、それらは全て自分用に製作したもので販売はしていなかった。諦めかけていた矢先に、Goldwin 0の始動に合わせて、シグネチャーブランド、"_J.L-A.L_"を始めるというポストが。これはもう買うしかないと心に秘めていた。
そう思っていたら、今年の1月にパリ出張から帰ってきた、バイヤーのイタイから、「 _J.L-A.L_の展示会も見てきたけど興味ある?」と。詳しく話を聞いてみると、どうやらパリでデザイナーのジャンと仲良くなり、一緒に食事までしてきたみたいで、そんなタイミング良い事ある?!と驚きつつも「興味あります!」と即答。そんなご縁もあって、今年の秋冬から新しくお取り扱いがスタート。今回のコレクションは彼のクリエイションの面白さが存分に伝わるであろう、シェルジャケット2型のみに絞って店頭に並べている。"Armor Jacket"
これは一般的なシェルジャケットでは無い。身頃と袖にはプロテクターが一体化しており、袖を通すと体を覆うような独特な形状になる。その佇まいは都市生活に向けた鎧だ。この見た目でイタリア製という丁寧な作り。彼のプロダクトに対しての拘りが感じられる。機能性が重視されるシェルジャケットに、防弾チョッキやモトクロスウェアで用いられるであろうプロテクターを組み合わせる発想はファッションでしか起こり得ない。独学だからこそ生まれた、セオリーに囚われない自由な発想、これこそがロンドンのストリートウェアだ。-内側に圧着された異質なウレタンのプロテクター。洋服を範疇を超えた面構え。"CONSTRUCTIVISM JACKET"
先ほどのジャケットとは対照的にマットな質感。一見するとシームレスかと思うほど静かな表情。シェルジャケット特有の嫌なナイロンのハリは無く、身体の動きに合わせてよく馴染む。ミニマルに見える作りだが、実はとても複雑なパターンで構成されている。実は複雑なパターン構成こそが_.J.L-A.Lの最大のデザインでもある。実はこのジャケットはリバーシブルの仕様で、裏返すと複雑な構成がデザインとなる。裏側のシームテープは3Mのリフレクター。複雑なパターン構成が裏返すことでデザインとなる。ちなみにCONSTRUCTIVISMとは構成主義という意味。
彼のクリエイションにはHelmut LangやVexed Generationの様な、静かだが力強いロンドンのストリートウェアのDNAを感じる。ニュージェネレーションが生み出す新しいコレクションを一度は袖を通してみて欲しい。
タナカ
-最近はアーマージャケットにスカートを合わせるスタイルがオキニ。-イタイがパリでジャンと一緒に食べたピザ。