Diary 012 余白
Diary 012 余白
23SSのオーダーが始まり、いま良いと思う服は何だろうかと考える。
いつも行くパキスタン料理屋でその話題が挙がった。これを着ておけばいい、とか分かりやすいトレンドブランドというものは既に無くなってきているのではないか。
今惹かれるのは「余白のあるモノ」じゃないか。
ここで言う「余白」とは「自分で解釈が必要なモノ」ということだ。
確かに最近惹かれるものに共通して「余白」がある。最近で言うとミニマルアートに美しさを感じる。ミニマルアートは1950年代頃に展開された視覚芸術でこれまでに良しとされていた、作者から観る人に対して美的感覚を投げかけるのではなく、観る人が作品を解釈して昇華させる事で完成される。
アートについて別に詳しいわけでもない自分は美術分野における技術の良し悪しは分からないし、それが正しいと強要される美意識が良いとも思わない。それもあってか、自分で解釈をする事で完成するミニマルアートに新鮮味と楽しさを感じる。
それは服においても同じ感覚だ。これはこう着るべきとされる服よりも、柔軟に解釈をして着方を選ぶことが出来る服が良い。
Sulvamの服を見ると様々なイメージが浮かぶ。例えばこのムートンジャケットだと「アメカジ」「テーラード」「パンク」「モード」とか。
ムートンジャケットというアイテムはアメカジを連想させてくれる、そして仕立てはテーラード、レザーのパッチワークはパンクっぽいし、ボタン使いや全体的な雰囲気はモードとも取れる。
アメカジのムートンジャケットに馴染みがない人でも、前述で連想したように自分なりの解釈で着れば良い。このパンツで言うと、袴のようにズドンと落ちるアバンギャルドなシルエットだが、毛足の長いウールの生地はソフトな雰囲気だ。色味もミリタリーに近いカーキは軍パンの感覚で履いても良い。 見る人の解釈や着方によってガラッと変わる。sulvamの服はその「余白」があると思う。
これから夏が始まるというこの時期。まだ秋冬まで猶予があるこのタイミングに、早めに解釈を考えてみよう。余白が埋まった頃にはもう欲しかった物は無くなっているかもしれない。
予習復習は早いうちから。
是非、皆さんの解釈を教えてください。
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